参院選で自民党が勝つためには何をすべきか
長崎知事選で明らかになった「民意の変容」

 2月21日に投票が行われた長崎県知事選挙は、自民党、公明党が支援する前副知事の中村法道氏(59)が、民主党、社民党、国民新党が推薦する元農水省改革推進室長の橋本剛氏(40)を大差で破って当選した。

 また、町田市長選挙でも、自公が支える現職の石阪丈一氏(62)が、民主、社民、国民新が推薦する元首都大学教授の秋山哲男氏(61)を、これもダブルスコアで破り再選を果たした。与野党対決で、与党が完敗したのである。

 長崎について言えば、政権交代の余勢を駆って、民主党候補が勝つはずであった。民主党から出馬した多くの「過去官僚」に習って、この若き農水官僚も小沢の許に走った。しかし、有権者の判断は厳しかった。若さも通用しない。優秀であっても、「政治主導、脱官僚」のスローガンが邪魔になる。先の衆議院選挙ではありえなかったことである。

 町田は、一市長選挙にもかかわらず、小沢一郎民主党幹事長自らが現地入りする力の入れ方であった。そして、それがまた、裏目に出た。昨年7月の静岡県知事選挙では、政権交代期待の風に乗って民主、社民、国民新が推薦する大学教授が当選したが、今回はその再現はなかった。

 背景にあるのは、鳩山内閣に対する幻滅である。とりわけ、鳩山、小沢の二人のトップをめぐる「政治とカネ」の問題への批判には厳しいものがある。

 朝日新聞が20、21の両日行った世論調査によれば、鳩山内閣の支持率は37%(前回は2月5,6日で41%)に下がり、選挙に勝てないという危険水域に入ってきた。不支持率は46%(前回は45%)である。

 まさに長崎、町田の首長選挙結果は、危険水域入りを証明したとも言える。朝日の調査では、参議院選挙で民主党が過半数を「占めない方がよい」が55%で、「占めた方がよい」は31%にすぎなかった。無党派層では、「占めない方がよい」が62%にも上っている。これもまた、鳩山内閣への失望感の表れである。

 政治資金問題について、小沢幹事長は国会で「説明するべきだ」という意見も81%に、また鳩山首相の説明を「納得できない」とする者が75%に達しており、国民の不満が高まっている。

 鳩山内閣支持率がこのように低迷状態を続けるならば、よほどの起死回生のホームランでも打たない限り、参議院選挙での勝利はありえないであろう。勝利したければ、鳩山が総理の座を、小沢が幹事長の座を降りるしかない。予算が成立した後には、その動きが民主党内で始まるであろう。その意味で、4月~5月は政局になると見るのが政界の常識である。

自民党よ、地方選挙の勝利に浮かれるな

 しかしながら、自民党が今回の地方選挙の勝利で有頂天になる理由は何もない。先の朝日新聞の世論調査でも、政党支持率については、民主党32%(前回34%)、自民党18%(前回18%)と、自民党支持率は上昇には転じていない。どの調査を見ても、ダブルスコアで民主党に負けている。

 自民党も、今のままでは選挙に勝てないということである。そのため、みんなの党が受け皿期待で支持を伸ばしている。今選挙をやれば、イギリスではないが、第三極が台風の目になってハング・パーラメント状態になる可能性がある。

 参議院島根県選挙区に、民主党は山陰中央テレビの岩田浩岳アナウンサー(34)を擁立する。

 小沢幹事長が辣腕を振るって、現職の青木幹雄氏(75)を潰すために仕掛けた罠である。若くて知名度のある候補だということのみならず、竹下登氏や青木氏が仕えた地元名家の田部家がオーナーのテレビ局の社員を候補に仕立てたところに鍵がある。まさに小沢氏の真骨頂である。

 それに比べて、自民党の参議院選挙候補選びは、執行部の体たらく以外のなにものでもない。衆議院落選候補を安易に比例区に回したり、過去の経歴に問題のありそうな候補を選んだりしている。徹底した公募で、優秀な人材を全国から集めるべきである。あわてる必要はない。

 公示一ヶ月前でも、勝つときは勝つ。重要なのは、時代の閉塞感を打ち破る覇気が無ければ戦には勝てないとうことである。

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