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「レベル7」現実は想像を超える
放射能汚染は終わらない
週刊現代 プロフィール

 今回の福島の事故では、絶対に子どもたちにこんな思いをさせてはいけないんです」

 チェルノブイリ事故から25年目の研究で、甲状腺がんは小児が中心で、成人の発症率はきわめて低いという報告もあったが、成人には、別のリスクがある。

 チェルノブイリのあるウクライナで、土壌改良事業に携わった河田昌東・NPOチェルノブイリ救援・中部理事も危険性を指摘する。

「我々が入っているジトーミル州の面積は2万haあり、かつては麦畑と畜産を主産業とする地域でした。ところが、州の95%の地域で、栽培ができなくなったんです。

 住民は、自宅の庭先で作ったものや、放射能汚染が比較的低い地域で作ったものを食べていますが、それでも体内被曝の影響が大きいんです。

 がんはそれほどでもないんですが、多いのは心臓病、脳血管疾患です。放射線被害の例としてがんや白血病がよく指摘されていますが、現実には、内部被曝を原因とする心臓や脳血管疾患が問題なんです」

低線量領域の内部被曝が怖い

 河田氏によると、放射性物質のうちのセシウムは、細胞にとりつき、エネルギー器官であるミトコンドリアの機能を破壊する。ミトコンドリアの機能が放射性物質で破壊されると、脳や心臓の毛細血管に悪影響があるという。

「心筋梗塞、脳梗塞、脳溢血、クモ膜下出血などの血管系の病気です。

 これまでは、広島・長崎で放射線を浴びた外部被曝系の患者のデータしかなかった。よく専門家がテレビで、『100ミリシーベルトまでは大丈夫』なんて言っているのは、広島・長崎のデータをもとにしているんです。しかし、実際にウクライナ政府の発表したデータによると、全被曝者の7~8割が低線量領域にいた、内部被曝なんです。ICRPやIAEAが設定している基準は、低線量領域の内部被曝には本来、当てはまらない。

 もちろんがん患者もいますが、実際には心臓や、脳の疾病が問題なんですよ」

 河田理事らのグループは、放射性物質で汚染された土壌を改良するため、菜種を栽培している。

「実際にやってみると、なかなか難しいとわかりました。放射性のセシウムは、土壌に割と強く吸着するんです。それも時間が経てば経つほど吸着力が強くなる。植物が吸収するのは、水に溶けた部分だけですから、土壌のなかにガッシリと吸着しているセシウムはとれないんです」(河田理事)

 福島第一近隣の土地も、ウクライナ同様に汚染されている可能性が高い。除染には、長い時間と膨大な費用、手間隙が必要だ。大阪市立大学の畑明郎特任教授は、重金属などに汚染された土壌の浄化を専門とする。