「レベル7」現実は想像を超える放射能汚染は終わらない

2011年04月25日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 揮発性の物質の場合、汚染される範囲が非常に広くなる。福島の場合は、チェルノブイリと比べはるかに漏出の期間が長い。さらに福島では大量の汚染水を海に垂れ流している。

 私はレベル7という判定は妥当だと思っています」(アメリカのシンクタンク「エネルギー環境研究所」のアージュン・マキジャーニ博士)

 アメリカ・ジョージア大学のチャム・ダラス教授も、夕刊紙のインタビューに答え、「米軍やIAEAの独自情報を入手した。原子炉や原子炉周辺のデータはかなり悪い。一言でいうと悲惨だ」と口にしている。日本政府、東京電力の公表データと、各国が独自に調査した数値には、乖離があるのである。

子どもだけは救おう

 前述のように福島と単純に比較できる事態は歴史上存在しないが、漏れ出た放射性物質の量で言えば、チェルノブイリだけが唯一、参考になる前例である。

 福島第一原発周辺のモニタリング・ポストで得られた放射線量の数値が公表されているが、いずれも3月17日を頂点に減少し、3月末以降はほぼ一定の数値を示している。これは、それぞれの地域に降った放射性物質のうち、半減期(放射線量が半分になるまでにかかる時間)の短いヨウ素がどんどん少くなっていくのに対し、半減期の長いセシウムなどが一定量の放射線を出し続けていることを意味する。低線量でも、毎日放射線を浴び続ければその「累積放射線量」が確実に身体を蝕む。

 浪江町の一部では、累積の放射線量が事故後1ヵ月で34ミリシーベルトを示した。これは、ICRP(国際放射線防護委員会)が示した人が一生涯に浴びる許容量の3分の1にあたる。

 チェルノブイリに近いベラルーシで、小児甲状腺がんの治療にあたった経験を持つ医師で松本市長の菅谷昭氏は、こう話す。

「ベラルーシでの小児甲状腺がんの発生数は、異常な率でした。国際的には、15歳未満の子どもの甲状腺がんは100万人に1人か2人。ところが汚染地では、それが100倍、多い地域では130倍に跳ね上がったんです。発生が増え始めたのは事故から5年後で、10年後にはピークを迎えました。私が診療していた当時も、毎日毎日子どもたちが診察に来た」

 病院を訪れ、手術を受けた思春期の女の子は、手術痕を見て、

「どうしてこんなことになったの! 何も悪いことはしてないのに」

 と悲嘆にくれていたという。菅谷氏によると、800人の患者のうち20人弱が死に至り、ミンスクの甲状腺がんセンターでは、6人に1人が肺への転移がみつかった。

「甲状腺がんにかかった子どもには、自覚症状がないんです。だから気付きにくい。定期的に触診や、超音波検査などを行って、早期に見つけださないといけない。甲状腺がんにかかると甲状腺を摘出しますので、一生、薬で甲状腺ホルモンを補充し続けなければいけないんです。薬の服用は毎日で、それを一生続けなければならない。

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