企業・経営
『FACTA』でスクープしたジャーナリストが緊急寄稿「ついに損失先送りを認めた社長会見はオリンパス大崩壊の第一歩」
記者会見をしたオリンパスの高山修一社長〔PHOTO〕gettyimages

筆者 山口義正(経済ジャーナリスト)

 ひた隠しに隠してきた損失が雪だるま式に膨らんで、それが明るみに出た途端、経営が揺らぐほどの大打撃を受けているオリンパス。「まるで・・・」と思っていい。「まるで山一証券のようではないか」と。14年前のちょうど今頃に自主廃業に追い込まれた山一証券もコーポレート・ガバナンス(企業統治)が機能せず、経営トップとごく一部の側近だけで秘密を抱え込んだ。細部には多少の相違があるとは言え、オリンパスの迷走は山一証券の故事を上からなぞるような話である。

 しかし11月8日の会見では、損失の総額や第三者へ不当に流れた資金の有無などはまだ明らかになっていない。事件の全容解明にはまだもう少し時間がかかりそうだ。問題の発覚を受けて銀行の融資姿勢がどうなるのかも読み切れない。一連のM&Aで発生したのれん代の償却を一括償却せずにすむのかどうかも不透明だ。世界に知られた優良企業が、一転して大変な経営難に瀕する公算も残している。

「オリンパスからほとんど情報が入ってきていない」

 オリンパスが、今回、損失先送りを認めるまで、疑惑のM&Aについて半信半疑だった取引金融機関はこう嘆く。「オリンパスの債務者区分をどうすればいいのか」「大株主としてどういう態度で臨めばいいのか」「今後の借り換えに応じられるのか」---これから決めていかなければならない悩ましい問題が山のように降って湧いたからだ。

 今のところ取引金融機関の間からは「オリンパスは内視鏡などによるキャッシュフローがきちんと回っている状態であり、資金繰りが急に悪化することはない。しかし損失先送りを認めたことは粉飾決算を事実上認めたことになる。上場廃止にでもなれば債務者区分を決めるうえでマイナスになることは間違いない」(大手銀行)との指摘が上がっている。

 のれん代の償却をどうするのかという問題も大きい。企業の価値を判断する際、資産の額や業績のような金額で表しやすい部分のほか、製品の市場シェアや優良顧客の有無、広い商圏など、金銭的価値に換算しにくい部分も含まれる。のれん代とは金銭に換算しにくい部分をあえて金銭で評価した付加価値の部分だ。

 一連のM&Aでは、不当な価格でM&Aを実施した結果、のれん代が大きくなり過ぎている。今回の騒動でのれん代の計上を認めてきた新日本監査法人が、思い切った償却を求めてくるのはまず間違いない。オリンパスの連結自己資本はほとんど吹っ飛んでしまう懸念が現実味を帯びてきている。