元公明党参議院議員の抜擢が逆効果になった野田佳彦首相の解散権を縛る「選挙区の違憲状態」
【PHOTO】Bloomberg via Getty Images


「来年夏にも衆院解散・総選挙が行われるのではないか。常識的には来年秋だが…。再来年8月末の衆院議員の任期満了近くまで引っ張るのは無理だ」

 来年中の解散を狙う自民、公明両党議員だけでなく、民主党議員からもこうした声が聞かれるようになった。

 解散権という伝家の宝刀を握る首相・野田佳彦は「9月の代表選で再選後、再来年の任期満了までの間に解散」という戦略を描く。にもかかわらず、来年中の解散・総選挙の観測が流れているのは、政権側が参院で与党が過半数割れしている「衆参ねじれ」を乗り切る方策を依然として見いだせていないためだ。

トリプル選挙を避けたい公明党

「来年がなあ…」-。野田は今国会で成立を図る法案を側近と協議している時、こうつぶやいた。

 今国会では、東日本の復旧・復興対策を盛り込んだ今年度第3次補正予算案、復興増税関連法案、公務員制度関連法案、公務員給与引き下げ法案、復興庁設置法案、衆院選挙区画定審議会(区割り審)設置法改正案、郵政改革法案など重要法案が目白押しだ。それでも、これらの法案、特に復興の関する法案について野党は反対しづらく、成立に向けてある程度の目鼻が付く。

 だが、来年のこととなると、消費増税法案や、赤字国債発行特例法案をはじめとする予算関連法案成立のメドが全く立たないために、野田は来年に思いをはせると暗い表情にならざるを得ないのだ。

 野田の展望が開けないのは、公明党の協力が得られる確証がないからだ。野田の「衆参ねじれ」を乗り切る戦略は、まず公明党と話を付けて自民党を動かすことだ。

 だが、公明党は次期衆院選で自民党と選挙協力する方針をすでに固め、前回落選した8小選挙区に加え、北海道10区(夕張市など)でも候補擁立の準備を進めている。また、再来年夏に、国政選挙並みのシフトを敷く東京都議選、参院選、衆院選が重なる「トリプル選挙」を避けるために、衆院選を来年中に行うよう迫っていく構えだ。このため、公明党は徐々に野田政権との対決色を強めている。

 公明党の協力がなかなか得られないという野田の焦りが出たのが、元公明党参院議員で外務省出身の高野博師を内閣官房参与に起用する構想だった。この構想に野田は深くはかかわっていない。官房長官・藤村修と副長官・斎藤勁が進めたが、公明党のほとんどの幹部にとって寝耳に水だった。

 このため、公明党内では「菅内閣の末期に、自民党から参院議員の浜田和幸を引き抜いたようなものだ」「昨年9月、菅直人首相が事前の連絡もなく、八王子の東京富士美術館を訪れた時と同じだ」と不満が渦巻いている。高野を起用したからといって、公明党懐柔にどれほどの効果があるのか、そもそも疑問だ。そんな策を根回し不十分のまま進めたために、反発だけが残ってしまった。

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