独仏首相のメンツと金融機関の思惑でギリシャ国民投票をつぶしたG20で国民に信も問わずに「増税」を公約した野田首相の「財務省べったり」
【PHOTO】Getty Images


先週は20カ国・地域(G20)首脳会議で世界は揺れた。

 まずはギリシャ問題だ。ギリシャのパパンドレウ首相から、支援策の受け入れを国民投票で決めるという話がでてきたからだ。ギリシャのユーロ離脱にもつながるので、仏独指導者が必死に回避に動き、結局、国民投票の話は消えたようだ。

 仏独指導者は、せっかく決めた支援策を反故にされるのは、政治家のメンツとして譲れなかったのだろう。また、他にユーロ圏でギリシャの国民投票を批判したのは、主に金融機関だ。それは、もし国民投票の結果、ギリシャのユーロ離脱(ギリシャ通貨ドラクマの復活=独自の金融政策)になると、保有するギリシャ国債の値下がりはとても債務カット50%では済まないので、ギリシャがユーロにとどまったまま支援するほうが、金融機関として自らの利益になるからだ。

 ちなみに、金融機関以外のユーロ圏の人の本音を言えば、ギリシャがユーロ圏から出ていって財政支援をしないほうがいいだろう。

国民投票は経済的にも理にかなっていた

 一方ギリシャにとっては、財政支援を受けつつ厳しい条件を飲むか、ユーロ離脱して厳しい経済環境を受け入れるかの選択になる。実は、ギリシャはこれまで200年間で100年以上のデフォルト(国家破綻)の経験がある。仮に後者のユーロ離脱となっても、これまでの為替の調整(=金融政策)で何とかいけるだろう。

 9月19日の本コラム(アジア金融危機と同じ過ちを繰り返すな。ギリシャ危機と増税の二重苦が直撃すれば、日本は先進国から脱落する http://gendai.ismedia.jp/articles/-/20045 )で明らかにしたように、経済理論的にいえば、ギリシャはユーロ圏にとどまってもうまく経済運営できないことがわかっている。これはマンデル教授の最適通貨圏の理論から、ギリシャ経済はユーロ経済と異質だからだ。

 であれば、今回ギリシャが無理にユーロ圏にとどまっても、再び問題になるのは確実だ。そうであれば、ユーロを離脱しドラクマを復活させ、独自の金融政策を活用し為替調整力を使うほうが、よりよい経済運営ができる。これは、英国、デンマーク、スウェーデンがEUにいながら、ユーロには加盟せずに、自前の金融政策によって、いい経済パフォーマンスを上げている大きな理由だ。

 この点で、国民投票は民主主義の観点からも経済の観点からも理にかなった方法だった。

 ギリシャの国民投票を押さえ込もうとしたのは、政治家のメンツとデフォルト確率5割以上のギリシャに対しユーロ圏にいるからという理由で安易に貸し込んだ金融機関が短期的な損得から政治的に圧力をかけていたからだ。そして、今回はその圧力が勝った。

 ギリシャ問題の長期的な抜本策となるユーロ離脱について、想定していないとか手続き規約がないとかいって否定しつつ、政治家が政治的思惑で、国民投票すら許さないのは、ちょっと怖い。

 ギリシャの将来はどうだろうか。ギリシャがユーロ各国の財政支援を得て今回の危機を乗り切ると、その一方で厳しい緊縮条件を受け入れなければいけない。ギリシャは、自分たちを「欧州人」とは思っていない。しかし、「欧州人」や国際機関から監視の名目で乗り込んでくる。そうしたストレスにどこまで耐えられるか。おおらかな「南欧人」の体質改善がはたしてどこまでできるだろうか。将来再びギリシャ問題は起こると思う。

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