チャベス大統領が隣国の石油産業を“助けた"背景
ワシントン・ポスト(USA)より COLOMBIA & VENEZUELA

 海底油田に恵まれながら、産油量が伸び悩んでいたコロンビア。ベネズエラから来た技術者たちが、その成長に貢献している。

 いま、コロンビアの石油生産量が急上昇している。2005年には一日当たり54万バレル程度だったのが、現在では約80万バレルに到達。年内には一日当たり100万バレルに達する見込みで、かつては石油の輸入すら検討せざるを得なかった国が余剰分を米国に輸出できるまでになった。

 この急上昇にはわけがある。それは隣国、ベネズエラのチャベス大統領からの“予期せぬ贈りもの"だ。03年、チャベスは自身が進める社会主義政策や経営指針に反発したベネズエラ国営石油公社(PDVSA)の経営幹部を追放。掘削作業員から技術者、地質学者に至るまで、2万人以上をリストラした。そして、職を失った彼らが辿り着いた先がコロンビアだった。

「チャベスはコロンビアの石油産業に大きく貢献しています」と語るのは、チャベスを批判したためにPDVSAの会長を解任されたウンベルト・カルデロンだ。彼は解雇された従業員とともにコロンビアでベトラ・エネルギーを創業し、現在CEOを務めている。

ワシントン・ポスト(USA)より

 石油が採掘できる海盆を近海に擁しながら、パイプラインを破壊されるなど、コロンビアの石油産業は左翼ゲリラに悩まされ続けていた。だがカルデロンらが失職したころには政情が安定し、ウリベ前大統領が石油会社を支援するようになったことも手伝い、魅力的な出稼ぎ先になっていた。

 コロンビアにとっては“たなぼた"だが、ベネズエラの石油産業が失ったものは少なくない。チャベスの方針でPDVSAは食品や建築業界にも進出した結果、肝心の産油量は年々減少。02年には一日当たり約300万バレルあった生産量が、現在は約230万バレルにまで落ち込んでいる。輸出国としての順位も02年の5位から11位に急降下。石油マネーが生命線のチャベス政権にとっては大きな痛手だ。

 

COURRiER Japon

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