2月1日のこのコラムで、鳩山政権内で経産省と財務省がバラバラで、名目成長3%の成長戦略と名目成長2%の中期財政フレームがそれぞれ独自に進んでいることを指摘した。先週19日、このコラムで長谷川幸洋さんがその話をフォローしたので、今週はさらに発展させてみよう。

この問題の根っこは、小泉政権以降曲がりなりにも存在していた経済財政諮問会議が、鳩山政権でなくなり、その代わりと期待された国家戦略局が機能していないことにある。
私は、小泉・安倍政権で、経済財政諮問会議の裏方を務めていたので、その重要性はよくわかる。
同会議の一番の意義は、総理、官房長官、経済財政担当相、総務相、財務相、経産相、日銀総裁がメンバーに入っているので、国の大きな話、特にマクロ経済政策を議論できることだ。
国の政策では、極論すればJALが倒産したなどの「滑った転んだ話」よりマクロ経済政策のほうがはるかに重要なのである。ところが、政治家は、マクロ経済政策はよくわからないので、「滑った転んだ話」に傾きがちだ。そこで、マクロ経済問題のために、総理も含めて重要閣僚を「時間拘束」することが必要になる。それが経済財政諮問会議だった。
ある閣僚が私に「あそこで勉強できてよかった」といったことがある。
経済財政諮問会議を除いて、2週間に一度以上、日銀総裁を入れて重要閣僚が顔を会わす機会は、これまでなかった。さらに、マクロ経済政策の場合、ほかの分野への影響が見えにくいために、財務省や日銀が単独でやると国全体の政策の整合性が失われることが多い。そこで、重要閣僚が一堂に会して話し合うのが大切になってくる。
経済財政諮問会議が、全体のカサになって財務省や日銀にタガをはめるわけだ。その中で、総務省や経産省が動くと、国全体としての政策がうまく回っていく。
しどろもどろの菅直人副総理・財務相
ところが、鳩山政権では、官邸も真空状態だ。国家戦略局も機能しておらず、どこの誰もこの機能を果たしていない。それで、昨年末、予算編成のどさくさまぎれにわずか2週間程度で新成長戦略が作成された。その内容は、自民党議員ですらかつての自民党の成長戦略かと見間違うほどそっくりだった。
それもそのはず、民主党政権は経産官僚が作ったものをほとんどそのまま取り入れたからだ。かつて自民党がやっていた役所丸投げが再び民主党政権下でも再び行われたのである。
以前、このコラムで、環境エネルギー分野で10年間で50兆円、140万人の雇用創出となっているが、これは労働者の年収が2500万円になるので、おかしいと指摘した(参照)。
すると16日の衆議院予算委員会で同じ質問が出た。それに対し、菅直人副総理・財務相は、50兆円には付加価値以外のモノも含まれると答弁したが、その答えは曖昧で、しどろもどろだった。
さらに菅大臣に50兆円の内訳を質問してみるといい。環境エネルギーの付加価値が何兆円かも聞いたらいい。もし10兆円なら、新規雇用140万人なので、労働者の年収は500万円くらいになって、さきほどのような問題はでない。
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