5人目の首相補佐官に浮上した
「小泉訪朝仕掛け人」

「日米安保セミナー」で見せたパフォーマンス

 やや旧聞に属するが、日本のメディアがまったく報じなかった、1月15、16両日にワシントンで開かれた「日米安保セミナー」について言及したい。

 外務省所管の日本国際問題研究所(JIIA)と米戦略国際問題研究所(CSIS)太平洋フォーラム共催の同セミナーには毎年1回、日米両国の安全保障政策の専門家が集まる。両国政府関係者、学者、ジャーナリスト、そして元政府高官などだ。今年で16回を数える。

 米側からスタインバーグ国務副長官、ベーダー国家安全保障会議(NSC)アジア担当上級部長、ルース駐日大使、ライス在日米軍司令官(空軍中将)、ハムレCSIS所長、コッサCSIS太平洋フォーラム理事長、カーチス・コロンビア大学教授、スミス外交問題評議会(CFR)主任研究員、ボーゲル・ハーバード大学教授、ペリー元国防長官、アーミテージ元国務副長官、グリーン元NSCアジア担当上級部長、
日本側から藤崎一郎駐米大使、高見沢将林防衛政策局長、野上義二JIIA所長兼理事長、北岡伸一東京大学教授、久保文明東京大学教授、船橋洋一朝日新聞主筆、伊奈久喜日本経済新聞論説副委員長、加藤秀樹東京財団理事長、岡本行夫元首相補佐官、田中均元外務審議官(政治担当)らが出席した。

 初日の藤崎、コッサ両氏のオープニングコメント、加藤氏のオープニングリマークスなどは公開されたが、2日目の各セッションは非公開だった。ハプニングが起こったのは、1日目の夜、ウィラードルームでの夕食会のキーノートスピーカー、スタインバーグ国務副長官の講演が終わった直後のことだ。

 2002年9月の「小泉電撃訪朝」の仕掛け人として知られる田中氏が手を挙げて質問に立った。外務省のアメリカンスクール(語学研修が英語)出身の田中氏だが、決して流暢とは言えない英語で直截的な質問を発したのだ。

「貴方は、沖縄の米海兵隊駐留が本当に必要だと思うか?」

 その場に居合わせた出席者は一応に驚いたという。なぜならば、同氏はまさに、96年の橋本・クリントン会談で「普天間基地返還」合意後、北米局審議官として日米両政府実務者レベルの交渉を担ったからに他ならない。

 その後の懇親の場でも同氏は、鳩山由紀夫首相から頻繁に助言を求められていると語り、自分が鳩山官邸といかに近いかをプレイアップしていたというのだ。田中氏が佐野忠克首相秘書官(政務担当)とは京都洛北高校の同期生であり、佐野秘書官のセッティングで鳩山首相と一度会談しているのは事実だ。

鳩山首相を巡る「3人の外交ブレーン」

 官邸周辺に田中氏は5人目の首相秘書官に起用される可能性を指摘する者もいる。

 ところが永田町・霞が関では、「その思想に共鳴するところが多い」(鳩山首相)という寺島実郎日本総合研究所会長が外交・安保政策の首相ブレーンとして知られている。さらに、5月の普天間基地の移設先最終決定が今後の政局の重要イシューとなってきた今、北沢俊美防衛相が推す岡本氏も官邸に呼ばれているのだ。

 「日米同盟重視派」の岡本氏を「右」とすると、「日米同盟堅持と東アジア共同体構想の両輪論」の寺島氏はこれまで「左」とされていた。

 だが、寺島、田中、岡本の3氏の現在の立ち位置を見ると、寺島氏は「中間」となり、米国のアジア政策に批判的な田中氏が「左」に取って代わった感が強い。同氏は首相補佐官として、拉致問題を含め北朝鮮との正常化交渉を担当したいとの野心があるとされる。

 3月までに田中氏の官邸入りがあるのかどうか、けだし見物である。

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