20年後に年金積立金が枯渇する可能性はある。『週刊ポスト』に言いたい、やっぱり年金改革は急ぐ方がいい!

『週刊ポスト』が『週刊現代』を批判する形で年金論争に参戦した。ターゲットになったのは、『週刊現代』11月5日号に掲載された、元厚労省の年金数理課長であった坪野剛氏へのインタビューを含むトップ記事だった。週刊ポストは、11月11日号のトップ記事(p32~p36)を充てて、「『週刊現代』は『年金カットやむなし』と主張するのですね」と噛みついた。

 批判されたとはいえ、ライバル誌が同じくトップ記事で丸々前週号の記事を取り上げてくれるのだから、週刊現代としては、悪くない気分だろう。週刊現代の記事は『現代ビジネス』に再掲されているので、読者は適宜こちらも参照されたい。

 両誌の記事は、議論として噛み合っているとは言いがたいが、ホットなテーマでもあり、せっかく論を戦わせているので、筆者なりに勝敗を判定してみたい。

解決策を示していない週刊ポスト

 議論の対象は、我が国公的年金の財政問題だ。特に、最近、厚労省が審議会を通じて、年金支給開始年齢(注;週刊ポストは国民目線で「受給」と言う言葉を使えといっているが)の主に68歳への引き上げが検討されていることや、週刊ポストの記事では、その後に厚労省が標準報酬月額の上限を大幅に引き上げる案(現在の62万円を121万円に引き上げるので、高額所得者の負担が急増する)を出したことが意識されている。

 年金の問題は、ただでさえ論点が多いが、今回の両記事の議論では、年金の過去(なぜ財政が悪化するに至ったか)、年金の将来(では、どうすればいいのか)、年金の現状に対する責任(悪いのは誰か)、の三つに論点が分かれるように思う。これらの中で最も重要なのは明らかに、年金制度をどうしたらいいかに関わる「年金の将来」の問題だろう。

 週刊現代は、古い世代の典型的な年金官僚(元数理課長)である坪野剛氏や現役の年金官僚の言葉を引用しながら、結局、「支給額を下げる」、「支給(開始)年齢を引き上げる」、「保険料を引き上げる」の三つ以外に解決策はないという。

 これに対して、週刊ポストは、「国民に負担を押しつけ、年金役人を喜ばすことを是としているとしか読めない」として「本誌は断固反対です」と主張する。

 しかし、週刊ポストの記事には、上記三つに代わる解決策らしきものの呈示が何もない。

 週刊現代の記事には、現役官僚の言葉として「実質成長率マイナス1.2%、利回りを1.5%などとしたところ、'31年度に、厚生年金の積立金が枯渇する見通しとなった」という'09年の一試算例が紹介されている。実質マイナス1.2%は相当に低いとしても、その場合に、1.5%もの運用利回りが確保できるとするのは楽観的な運用想定である。この数字を考えてみると、20年後くらいに年金積立金の枯渇が現実化する可能性は十分なリアリティがある。

 週刊ポストが言う「年金を官僚から取り戻す姿勢を貫くこと」に、筆者は大賛成だが、年金制度の大枠をそのままに、官僚による運営だけを改めても、年間に2、3千億円くらいは改善するかも知れないが、年金財政全体は救えそうにない。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら