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 2月5日、6日の両日、カナダの北極圏・辺境の地イカルウィットで7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が行われた。

 イカルウィットは、気温が氷点下20~30度にもなる「危険なほど寒い」ところだ。G7は交通の便等を考慮して通常は大都市で開催されるので、今回の開催地は異例だった。しかも、会議後の共同声明がなかったのも、'97年9月の香港会議以来のことだ。

 最近のG7は徐々に影響力を失いつつある。というのは、G7だけで世界の経済問題に対処するのは困難になっており、中国、ブラジル、インドを含むG20が世界経済の討議の場に取って代わりつつあるからだ。

 G7が脚光を浴びたのは、昨年2月のローマ会議。皮肉なことに、故中川昭一財務相による酩酊会見だった。海外メディアでも取り上げられ、アナウンサーが「日本語はわからないが酔っているのはわかる」と解説していた。

 今回のイカルウィットG7は共同声明がなかったこともあり、国際会議の主役がG7からG20に交代したことを明確に印象づけた。会議では最後に、カナダのフレアティ財務相が議長総括として世界経済の回復を確実にするための大規模な財政支出を継続することなどを確認したが、想定内の内容で、成果は乏しかったと言わざるを得ない。

 日本からは、菅直人副総理兼財務相と白川方明日銀総裁が出席。菅副総理にとっては、これが国際舞台へのデビュー戦だったが、G7自体が軽い会議になり、国際公約を何も決めなかったので、得点はない代わりに失点もなく、菅副総理にとっては無難な初舞台だったと言えよう。

 今回のG7は、ズバリ言えば国際会議というより、極寒の地への旅行と評したほうがいい。日本では報じられていないが、菅副総理は会議前に行われた犬ぞりツアーを楽しみ、記者会見を延期したと、海外の新聞には書かれていた。さらに、民族文化レセプションでも、最前列の真ん中で菅副総理ははしゃいでいた。

 ところが、肝心の会議になると、「(日本の財政赤字は)金メダル級」などの自虐的ジョークこそ受けたものの、日本の存在感をアピールするどころか、見事にダンマリになる。語学のハンディキャップがあるからだ。

 G7会議は、各国財務相の他に中央銀行総裁と財務省事務方(日本は玉木林太郎財務官)の3人が一組で討論する。話す言葉は英語が基本だ。この会議で通訳用のヘッドフォンをつけていたのは菅副総理ただ一人。

 発言するときに、外交上の理由で母国語で話す場合もあるが、菅副総理以外は全員英語で聞き取れるということだ。ラガルド仏財務相はアメリカ留学経験があるし、トレモンティ伊財務相は学者出身だから英語での議論は容易だろう。

 それでも会議では各国に発言時間が割り当てられているが、会議の合間のコーヒーブレイクやトップだけの暖炉端チャットで通訳を介して話すことはまず無理だ。実は重要なのは、こうした場外なのだが、日本の政治家はまったく対応できない。

 最後の共同記者会見でも、各国財務相がひな壇にずらりと並んだが、ここでも右端の菅副総理だけがヘッドフォン姿だった。

 極寒旅行を楽しんだ菅副総理。右も左もわからない初めての国際会議で、発言のタイミングなどに関して財務官僚から懇切丁寧な指示を受けたに違いない。これで役所に、たっぷりと借りができたことだろう。



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