経済の死角

定期預金を取り崩す?
「義援金100億円」を
孫正義はどこから出すのか

2011年04月30日(土) 週刊現代
週刊現代
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 ソフトバンクの孫正義社長(53歳)と言えば、約6800億円の資産を持つ日本一の金持ち。その孫氏が、「大震災の被災者に個人として義援金100億円を寄付する」と発表し、大きな話題を呼んでいる。

 それまで経営者では、柳井正氏や三木谷浩史氏が寄付の意思を明らかにしていたが、金額は共に10億円。孫氏の寄付額はその10倍だから、世間が度肝を抜かれたのも当然だ。

「極貧の幼少時代を送った孫氏は、被災者、特に子どもたちの苦しみが他人事と思えないのでしょう。ただ、あれほどの商才の持ち主が、単なる慈善だけで100億円を出すとも思えません」(全国紙経済部記者)

 今、電気通信の世界で、ソフトバンクは「ローミング」を強く求めている。これは、ある携帯電話会社のサービスエリアの外にいるときも、他の会社のインフラを使って通信ができるようにする仕組み。つまり、ソフトバンクの携帯が使えない場所でも、ドコモやauの設備で通信ができるようにしたい―というのが孫氏の狙いなのだ。

「そこで孫氏は、被災者に寄り添う姿勢をアピールすべく、個人で100億円、ソフトバンクで10億円の寄付を決めたのだと思います。まもなく、やはり『被災者のため』という理由でローミングの必要性を訴える戦略でしょう」(ジャーナリスト・須田慎一郎氏)

 肝心の義援金だが、いったい孫氏はどう工面するのか。須田氏によると、その資産の源泉は、さまざまな銘柄の保有株だという。

「数百億円単位のお金を定期預金で持っているとは、とても思えません。孫氏は今、ソフトバンク株だけでも約2億3000万株を保有している。現在の株価が約3400円ですから、100億円を工面するには約290万株、つまり保有分のわずか1・3%程度を売ればいいのです」

 ソフトバンクは「社長の寄付は個人のことですので、調達の方法はわかりません」(広報)というが、ローミングが実現してソフトバンク株が上がれば、100億円を上回る利益が出る可能性も十分。前代未聞の義援金は、いずれ孫氏のもとに戻ってくるということか。

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