原口一博・直撃インタビュー 「みなさんは
本当の小沢さんを知らないんです」

民主党はこれでいいんですか
聞き手:長谷川幸洋(東京新聞論説委員)

原口一博
1959年生まれ。総務大臣。テレビでもおなじみの論客である

― 鳩山内閣の不支持率が支持率を上回りました。

原口 強い危機意識を持って臨むべき状況であると思っています。私たち民主党政権には、いくつもの抜本的な制度改革をしなければならないというミッションがあります。
たとえば、行政改革を行うことでHATKZ(ハットカズ)(H=ひも付き補助金、A=天下り、T=特別会計、K=官製談合、Z=随意契約)をなくそうとしていますが、それには霞が関の長い間の慣習と闘わなくてはならない。そのため、ものすごく大きな力を必要とします。その大きな力の源泉となるのが「国民の支持」です。
したがって、もしもこのペースで支持率が落ちていくと、大胆な変革ができなくなってしまう恐れがあります。

― 支持率下落の原因をどう分析していますか。

原口 マニフェストを実行するための財源をしっかりと示すに至らなかったからだと考えます。もちろん、私が触れられない件も原因としては小さくないでしょう。

― 小沢一郎幹事長の土地取引をめぐる事件ですね。

原口 政治資金規正法を所管する大臣として、これに関わる個別の案件にはコメントできないので、"私が触れてはならない件"です。

― 政治とカネの問題をどう解決していきますか。

原口 ですから、個別案件については言えませんが、まず、政治資金規正法と公職選挙法は時代に合っていないので改正しなければなりません。よく言われるとおり、いずれもザル法であるが故に、解釈によってどこで抵触してしまうことになるかわからないとも言われます。ということは、法自体が政界への参入障壁になってしまいますね。
これではいけない。すべての人が自由に政治家として民主的な活動ができるように、誰が読んでも一つの解釈しかないという法律にしなければなりません。
また、不透明なカネを生む温床となってきた企業・団体献金を禁止します。個人献金に移行するためには税制改正も含めた改革をしなければなりません。
そして公開性。政治家、政党の収支はすべてオープンにします。

― ところで、原口大臣は次の総理大臣候補とも言われていますね。

原口 そういう評価をいただくのは、ありがたいことです。

「親分」ではなく「親」です

― 原口大臣は小沢幹事長の秘蔵っ子で、幹事長を「親分」と呼んでいるとの噂もある。本当ですか?

原口 「親分」なんて呼んだこと、一度もありませんよ。大間違いです。そもそも民主党はそういう上下関係で人を締め付ける組織ではありません。小沢さんは、私の政治家としての生みの親なんです。「親」と「親分」では、まったく違う。

― 「生みの親」とはどういうことですか。

原口 私は1996年の総選挙に、小沢一郎党首率いる新進党から出馬して初当選したんです。そして、その後、小沢党首の補佐役も務めていました。ところがその親が、ある日突然、我が家である新進党をぶち壊して出て行ってしまう。
そしてその後、小沢さんは自由党時代に自自連立、自自公連立を組むわけです。それ以来、ずーっと私は反小沢です。そんな連立はとんでもない野合だ、政治的に死んでほしいとさえ思っていました。

― 死んでほしいとは、なかなか激しいですね。

原口 もちろん、あくまでも政治的に、ですよ。なにしろ、'97年の年末にハウステンボスで子どもと遊んでいたら「殿ご乱心で党を潰すと言っている。大至急上京しろ」という緊急連絡が来た。大あわてで東京に戻ったんですが、時すでに遅く、党は潰れていました。
『ホームレス中学生』の父親がある日、「解散!」と言って家族がバラバラになりますが、まったくそれと同じ状況でした。

― ひどい親ですね。

原口 それでもある日、和解のときが訪れます。小沢さんは、自民党との連立はおかしいと反省し、やはり二大政党制を目指そうと総括したんです。そして、民主党との合併を決断するわけです。ですから今は、死んでほしいという思いはなくなりました。

― 原口大臣にそう思わせる、小沢幹事長の魅力とはどんな部分ですか。

原口 チャーミングな人ですよ、小沢さんは。以前から言っているんですが、暗い菅(直人・副総理兼財務相)さんが小沢さんで、小沢さんを明るくすると菅さんになる(笑)。お二人からは、一緒にするなと怒られましたが、実はよく似ているんですよ。どちらも大きな変革をしようという思いが共通なんです。

― 小沢幹事長がチャーミング?

原口 ナイーブで、義理堅くて、他人を大切にしようという思いの強い人ですよ。こういう本来の姿を見せればいいと思うのですが、どうしても政治の衣を被って、相手を突き放してしまう。たとえば、かつて私が政治的に死んでほしいと思っていた当時の小沢さんは、警戒音というか、「自分に近づくな」という"気"を出しているように感じました。

― 一種のオーラですね。

原口 そう、「近づくなオーラ」です。しかし、自分と自分のチームを信じる人でなければ変革者にはなれません。辛くなったら周りの人を切るというのが変革者であるはずがない。
でも、小沢さんは変わりましたよ。現在の小沢さんからは警戒音を感じることはありません。よく笑うようにもなりました。人を包み込むような、本来の優しい面が出てきたように思います。急にニコニコされて戸惑っている人もいるみたいですが(笑)。

― でも、小沢チルドレンには言論の自由がないようにも聞こえてきますが。

原口 そんなことありません。リーダーの役目は人材を100%活かすことです。若手には優秀な人材がたくさんいる。彼らには政策、国会論戦、議員立法も自由にやらせていますよ。

― 議員立法は党から厳しく制限されているんじゃないですか。

原口 そんなことありません。私に言ってくれれば、自由にできるんです。もちろん党には一言断りますが、大臣がOKすればできるんです。

― 国会で説明している総理や大臣でさえ、実は最終決定に関わっていなくて、舞台裏ですべてを決めているのは小沢幹事長なのではないか。二重権力構造になっているという批判が根強いですが?

原口 それは一人の存在を過大評価しています。私は学生時代、演劇の演出をやっていたのですが、自分の言葉で話せない人を舞台に上げることはできなかった。同じように、自分で決定に関わった人でなければ、答弁などできませんよ。
私たち民主党政権の大臣たちは、ほとんどノーペーパーで答弁しています。何も決められないお飾りの大臣などいません。 なにかとてつもなく大きな権力があって、それが小沢さんだというのは、いかにも古い自民党型の体質に当てはめた見方です。この民主党は私たちがつくってきた党なんです。
新進党がなくなってバラバラになったとき、前原(誠司・国交相)さん、枝野(幸男・行政刷新担当相)さん、そして私のような、歯を食いしばって二大政党制を目指した仲間たちが新しい民主党をつくった。私たちこそがオリジナル民主党であって、そこに「改心」した小沢さんが後から入ってきてパワーアップしたんです(笑)。

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