経済音痴の復興会議には任せられない 「善意の節電」に潜む落とし穴首都圏の経済成長は10%減速との見方も

2011年04月19日(火) 町田 徹
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 そして、「ありがたいことだ。これほどの協力が得られると予想した電力会社関係者はいなかった」と安堵の表情をみせていた。多くの人々の善意の総和である驚異的な節電が、無計画で大規模な突発的停電を未然に防いだというのである。

 しかし、エコノミストの中には、この善意の節電を、「手放しで喜ぶのは間違いだ。むしろ、その節電に伴う経済活動の停滞に危機感をもつべきである」と顔を曇らせる向きもある。

 詳しく紹介しよう。

 被災後の1ヵ月間の節電について、このエコノミストは「過去の弾性値から見て、首都圏の経済成長が10%近く減速したという試算が成り立つ」と分析している。

 そして、「首都圏経済は、日本の4割近くを構成するので、国家レベルでみれば3%を大きく超える成長の阻害要因になったはずだ」とみているのだ。

 国際通貨基金(IMF)は4月11日、世界経済見通しを改訂し、その中で、日本の2011年の成長予測をこれまでより0.2ポイント低い1.4%に下方修正した。この水準は4.4%の成長が見込まれる世界経済から見れば、群を抜いて低いものである。

G20が示した日本経済への懸念

 しかし、電力不足は今回の1ヵ月にとどまらない。東電なりの電力供給の復活努力がその通り実現できたとしても、6月以降は冷房を中心とした電力需要が高まり、3、4ヵ月にわたって電力不足が繰り返されるのは確実な情勢にある。

 そうなれば、事態はIMF見通しより大きく悪化し、マイナス成長の泥沼に落ち込んでも不思議はない。さらに言えば、今後、数年間、こうした状況を解消することは難しいとされている。

 もちろん、日本経済を減速させる要因は、首都圏の電力問題だけではない。全国各地で繰り広げられた自粛に伴う消費の減退や、観光を中心とした人の移動の激減も深刻な問題だ。大手流通各社は軒並み、2011年度の純利益が2~4割落ち込むとの業績見通しを公表しているし、大手航空会社は「羽田発着便の搭乗率が3割を切り、1日10億円規模の営業赤字を計上する日が珍しくない」と頭を抱えている。

 先週末、米国の首都ワシントンで開かれたG20財務大臣・中央銀行総裁会議は、こうした危機に対して、当事者である日本よりも諸外国の方が敏感であることを浮き彫りにした。東日本大震災の復興支援を前面に打ち出す一方で、共同声明において、政情不安の中東・北アフリカと並んで、日本が「経済面での不確実要素だ」との見方を示したのである。

 こうした中で、経済の減速を和らげるために速やかな復旧・復興が必要なことは、だれがみても明らかだろう。

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