経済音痴の復興会議には任せられない
「善意の節電」に潜む落とし穴

首都圏の経済成長は10%減速との見方も
東日本大震災に伴う電力不足を、国民や企業の驚異的な節電努力によって、乗り越えることができた。〔PHOTO〕gettyimages

 まずは、素直に喜ぼう。壊滅的な被害をもたらした東日本大震災に伴う電力不足を、国民や企業の驚異的な節電努力によって、曲がりなりにも乗り越えることができたのは幸いだった。首都圏では暖かい日が続き、暖房による電力のひっ迫の思い悩むことなく暮らせる季節がめぐってきた。

 しかし、喜んでばかりはいられない。この節電には、「経済の大幅減速」というリスクが潜んでいるからだ。独自の取材の結果、東京電力のユーザーが震災から1ヵ月の間に1日当たり500万キロワット前後という驚異的な節電を果たした事実と、それに伴って日本の成長率が3%以上も減速した可能性が浮き彫りになってきたのである。

 折しも先週末、日本は、ワシントンで開かれた「主要20カ国(G20)財務大臣・中央銀行総裁蔵相・中央銀行総裁会議」の場で、「世界経済のリスク」との嬉しくないレッテルを貼られてしまった。

 ところが、菅直人政権が鳴り物入りで設置した「東日本復興構想会議」は、第1回会合で、いきなり「震災復興税」の創設を最優先課題のひとつに掲げて、財政偏重・増税ありきの復旧・復興策を推し進める方針を打ち出した。愚策としか言いようがない、まるで、衰弱した病人に、体力が必要な外科手術を強行し、患者の命を奪うような話なのだ。菅政権には、菅政権が「日本経済のリスク」になっている事実の自覚が求められている。

電力消費が12%減少した裏側で

「皆さん、なんと協力的なのでしょうか。救われました」---。

 目を皿にして日々の電力需給をモニターしてきた、ある電力関係者は、筆者の取材に対し、開口一番、こう漏らした。

 言葉の背景にあるのは、被災直後の週末に計画停電突入をアナウンスした途端、翌週の初めから東京電力管内の1都8県の電力消費が見る見る下がり出したことだ。花冷えの暖房需要がピークに達すれば大停電を誘発しかねないとの懸念を他所に、電力消費は、前年の同時期を500万キロワット、率にして12%前後も下回る日が続いた、と、この関係者は、未公表の電力消費の詳細を明かしたのだ。

 そして、「ありがたいことだ。これほどの協力が得られると予想した電力会社関係者はいなかった」と安堵の表情をみせていた。多くの人々の善意の総和である驚異的な節電が、無計画で大規模な突発的停電を未然に防いだというのである。

 しかし、エコノミストの中には、この善意の節電を、「手放しで喜ぶのは間違いだ。むしろ、その節電に伴う経済活動の停滞に危機感をもつべきである」と顔を曇らせる向きもある。

 詳しく紹介しよう。

 被災後の1ヵ月間の節電について、このエコノミストは「過去の弾性値から見て、首都圏の経済成長が10%近く減速したという試算が成り立つ」と分析している。

 そして、「首都圏経済は、日本の4割近くを構成するので、国家レベルでみれば3%を大きく超える成長の阻害要因になったはずだ」とみているのだ。

 国際通貨基金(IMF)は4月11日、世界経済見通しを改訂し、その中で、日本の2011年の成長予測をこれまでより0.2ポイント低い1.4%に下方修正した。この水準は4.4%の成長が見込まれる世界経済から見れば、群を抜いて低いものである。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら