東京電力の福島第一原発事故賠償問題について、私は前回と前々回のコラムで「東電にはタダでもらえる『抜け道の資金ルート』がある」と指摘した。重要な問題なので「国会で議論を詰めてほしい」とお願いしておいたら、柿沢未途衆院議員がさっそく10月24日の衆院東日本大震災復興特別委員会でとりあげてくれた。
ところが、枝野幸男経済産業相の答弁はいささか期待に反するものだった。質問の趣旨には正面から答えず「(政府がタダのおカネを機構に出す法律の条文を)使うつもりはありません」と答えたのである。
それはそれで、また別の問題を引き起こす。つまり大臣が「使うつもりはない」といっただけで片付くような話なのか、という問題である。事は兆円単位の税金にかかわる話なのだ。
ときの大臣が「おれは使わないよ」などと言ってみたところで、大臣が交代し政権が代わってしまえば、どうなるか分からないではないか。そんないい加減な話ではとても済まない。
大臣のさじ加減ひとつで兆円単位のカネが東電に
現行の法律が定めている賠償枠組みは銀行と株主の責任を問わない仕組みになっており、そこに根本問題がある。とはいえ百歩譲って現行枠組みを認めたとしても、現状では大臣のさじ加減一つで兆円単位のおカネがタダで東電に流れてしまう点が明らかになった。
まず、柿沢と枝野のやりとりを紹介しよう。
柿沢:東電が自前で賠償資金の支払いをできない場合、原子力損害賠償支援機構が交付国債を現金化して東電に交付し、賠償支払いに充てる。交付国債の発行枠は2兆円だ。加えて東電が資金ショートになるおそれがある場合、政府は機構法51条で必要な資金を現金で交付できるようになっている。
さらに返済するのに決められた額を東電が負担して資金ショートするおそれがある場合も、政府は機構に現金を交付できる。これが68条だ。つまり東電が倒れそうになったら、政府がすかさず機構を通じて東電を救済する仕組みになっている。
この51条と68条の現金交付について、機構には「政府への返済義務がない」とジャーナリストの質問に答えたというが、本当か(一部略。以下同じ)。
ここで「ジャーナリスト」とは私のことだ。この質問に枝野はこう答えた。
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