経済の死角

福島が殺される

東京の身代わりなのか

2011年04月21日(木) 週刊現代
週刊現代
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南相馬市で遺体捜索に当たる自衛隊員 〔PHOTO〕森住卓

本当のことを教えてほしい

「あの原発は『福島電力』じゃあないからね。東京電力、東京のための電力を作ってたんだ。そのことを、どこまで首都圏の人は受けとめてるのかね。東京ではいわきナンバーの車を差別する空気があるそうだ。野菜や魚だけでなく、人間まで汚れたモノのように扱うのはやめてほしい。特に、何の罪もない子どもたちには、普通の暮らしをさせてやりたい。俺が言いたいのは、福島を、福島県人をこれ以上バカにするなってことなんだ」

 福島第一原発のある双葉町からいわき市に避難している男性(65歳)は、怒りを抑えて静かに言った。

 30km圏内の広野町から会津若松市に避難している商店主(40代)も、諦めたように淡々と語る。

「20km圏内はもうダメ。じゃあ、30km圏内はどうなんですか? やっぱり同じように危険なんですか? 誰もそのことを正確に言ってくれない。テレビに出てくる学者の言うこともみんなバラバラ。誰を、何を信じたらいいんですか? 私たちは広野町に住み続けることができるのか、できないのか。子どもに訊かれて答えられない自分が嫌になるんです。誰か本当のことを教えてくださいよ」

 本誌はこれまで、被害の大きかった三陸地方でも取材を重ね、津波で家も家族も流された人の悲しみを伝えてきた。

 しかし今回、福島の被災者にじっくり話をきくと、三陸の人々に会った時と明らかに違う心象を持った。怒りと恐怖と諦観、その渦の中に彼らはいる。

 その違いは何か。

 答えは簡単だ。津波は天災だが、放射能汚染は人災だからだ。

 三陸には、自然の猛威にひれ伏し、泣きながらも、「この土地でもう一度やり直そう」と思える人たちがいる。これまで津波に襲われては復興してきた強靱な歴史がある。

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