中国
中国が威信をかけたビッグイベント「BRICSサミット」というパフォーマンス
16年前、木箱の上での演説がいまや現実に
三亜で開催された第3回BRICS首脳会談〔PHOTO〕gettyimages

 今年の中国外交の最大のビッグイベントが、4月14日、「中国のハワイ」こと海南島の最南端の町・三亜で開催された。第3回BRICS首脳会談である。B=ブラジルのルセフ大統領、R=ロシアのメドベージェフ大統領、I=インドのシン首相、C=中国の胡錦濤主席、そしてS=南アフリカのズマ大統領の5人の国家元首が、一堂に介した。 

 海南島から帰ったばかりという中国の外交関係者が解説する。

「BRICSは、ホップ、ステップ、ジャンプという3段階の発展を遂げています。まず第一段階は、2001年から2008年まで。9・11事件、アフガン戦争、イラク戦争・・・と、唯一の超大国であるアメリカ主導で世界外交が進められていくことに警戒を強めた中国とロシアが中心になって、『世界の多様化』を呼びかけた時期です。これに、核実験強行でアメリカから制裁を受けていたインドや、反米意識が高まるブラジルが呼応しました。

 次に第二段階が、2008年から昨年までです。2008年秋にアメリカ発の金融危機が勃発して、その対応策を話し合うためG20(主要国サミット)が開かれる中で、アメリカ主導のG7(主要先進国サミット)に対抗する『発展途上国の軸』が必要だという機運が高まった。それで2009年6月に、ロシアで初めてのBRICS首脳会談を開き、昨年4月にはブラジルで第2回目の首脳会談を開きました。

 この2年間でBRICSは、アメリカ主導のIMF(国際通貨基金)を改革し、COP15(第15回国連気候変動枠組条約締約国会議)で先進国の主張を阻止するなど、存在感を高めていきました。そして昨年末に南アフリカを5ヵ国目のメンバーとして迎え、今年から第3段階に入ったのです」

世界人口の42%、GDPの18%を占めるBRICS

 それでは、第3段階に入ったBRICSの狙いとは何か。この外交関係者が続ける。

「それは一言で言えば、今後10年くらいかけて、G7(先進国代表)から、BRICS(発展途上国代表)へと、『富の交代』を促進していくことです。BRICSの5ヵ国を合わせると、世界人口の42%(30億人)、GDPの18%(11兆ドル)、貿易額の15%(4・6兆ドル)を占めます。また、BRICSの5ヵ国は、すべて国連安保理のメンバーで、かつG20の参加国でもあります。われわれ5ヵ国が、年平均6・5%の経済成長を果たしていることを鑑みれば、10年後にはBRICSが世界をリードする時代が到来すると確信しています」

 だが、中国側がこれほど力説する割には、今回のBRICS首脳会談を見ていると、「三亜宣言」は出したものの、特筆すべきものはなく、ショー的側面が強かった。シェラトンホテル入口での歓迎と、記念撮影、「未来を展望し、共に繁栄を享受しよう」と題した胡錦濤主席の演説(1月にホワイトハウスで行った演説とあまり変わりばえのしない内容!)、「三亜宣言」の調印セレモニー、5人揃っての記者会見、地元特産の海鮮料理満載のランチ・・・と続いた。その間に、わずか1時間ほどの首脳会談を行っただけで、しかもその前半は、各国首脳のたわいもない「冒頭発言」に取られたのである。

 実際、今回最も注目されたのは、G7(日本を除く)の軍事的砦であるNATO(北大西洋条約機構)によるリビア空爆に対する対応だったが、「三亜宣言」では「平和的手段による解決を望む」と謳っただけで、具体的な対抗措置は盛り込めなかった。

 このことを前出の外交関係者にぶつけると、次のように反論した。

「今回のBRICS首脳会談がパフォーマンスだというのは、否定しません。極端に言えば、オバマ大統領がホワイトハウスでCNNテレビを見て、5首脳のにこやかな握手にプレッシャーを感じてくれればよかったのです。今回の主要イベントが、オバマ大統領がまだ寝ていないであろう時間帯に凝縮して行われたのは、単なる偶然ではありません。

 さらに言えば、BRICS会議で本当に大事なのは、個別の2ヵ国会談です。今回も各国が大量の随行者を派遣し、計10もの首脳会談が行われました」

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