大反響第5弾 われらの年金を返せ! 厚生省年金局元数理課長坪野剛司氏 "年金大崩壊、 本当のことを話しましょう"

2011年10月31日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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註:受給総額は厚生年金(報酬比例部分)の受給月額を10万円(厚労省のモデルケース)とした場合、平均寿命の80歳までにもらえる額。総額の中に基礎年金(国民年金)は含まれていない。年齢は誕生日が来年の4月2日と仮定した場合。たとえば50歳男性は、現行制度では65歳から80歳まで1800万円もらえるが、(Ⅱ)の案では68歳から、1140万円しかもらえない

 世界経済の悪化に加えて、もちろん、少子高齢化も大きな問題である。

「簡単にいえば、年金制度は、現役世代が神輿を担ぎ、リタイアした人がそれに乗せてもらっているようなもの。厚生年金(報酬比例部分)で言えば、現状では1人の高齢者を2.5人で支える『騎馬戦型』ですが、2050年には、1.39人で1人を支える『肩車型』になってしまいます。

 神輿を落とさないためには、『神輿を軽くする』=支給額を下げること、『馬力を出す』=保険料率を引き上げること、『神輿の乗員制限をする』=支給年齢を上げること。この3つの方策しかありません」(目白大学の宮武剛教授)

 このたびの厚労省案を知恵がないと切り捨てる坪野氏は、日本の年金制度を立て直すには、どの方策を取るべきだと考えているのだろうか。

「支給額を下げる、保険料率を引き上げる、支給開始年齢を上げる。この3つしかない。その中の支給開始年齢ひとつだけを取り出して、それを遅らせるというのはおかしいと思います。

 私はまず、保険料率を上げることが最初だと思います。現在の厚生年金の保険料率(16.412%)は'17年に18.3%まで引き上げられて固定される予定ですが、それでも低すぎる。今は制度を維持するのに必要な保険料を取れていません。せめてもう1割から2割、20%くらいまで引き上げるべきです。年金財政は保険料だけで7~8割をまかなっているのですから、保険料が上がれば、かなりゆとりができます。

 もちろん、保険料率引き上げにも限度があります。限度が来たら次は、支給額を見直して調整する。水準を下げすぎると何のための年金かわからなくなりますが、労働者の賃金が上昇しないときには、給付を下げるのもやむをえない。そして最後の手段として、支給開始年齢の引き上げが来るんです。ただしこれは、定年制とセットで考えなければいけない。なぜなら、定年を迎えてから支給開始まで無年金になる空白期間が一番の問題だからです。

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