バンクーバー五輪
「期待の星」高木美帆を利用するJOC

 弱冠15歳で日の丸を背負うスピードスケートの高木美帆(1000m、1500m、団体競技のパシュートに出場予定)。スーパー中学生の人気ぶりに水を差すわけではないが、

「バンクーバーでは難しい。次のソチ五輪でメダルを目指すという段階です。もっと体を作って、経験を積む必要があります」

 というスポーツライター・折山淑美氏の見方は、大勢の専門家と一致する。

「スケート選手は左回りの周回練習を繰り返すため体に歪(ゆが)みが出ますが、彼女は若い上にサッカーやヒップホップダンスもしているので、体にクセがなく、伸びしろが大きい。しかし、現段階では入賞できて万々歳というレベル。今大会では他に注目すべき選手はたくさんいます。

 それなのにマスコミが彼女に注目するのは、一つは花形のフィギュアで浅田真央の調子が芳しくなく、キム・ヨナの金メダルが濃厚で盛り上がりに欠けていること。もう一つはJOC(日本オリンピック委員会)による猛プッシュです。昨年、民主党政権の事業仕分けで大打撃を受けたJOCは、木を文字通り"金の卵"に育てようとしているんです」(別のスポーツライター)

 JOCは昨年、行政刷新会議の事業仕分けで約59億円の予算縮減を決定された。選手強化のための国庫補助金約27億円も含まれていたため、文部科学省を通じて抗議したが、結果的には退けられた経緯がある。

 前出のスポーツライターが解説する。

「若手選手が台頭して人気が出れば、世論の後押しで予算が付きやすくなります。報道陣の質問に率直に答える木は、JOCにとって極めて利用価値の高い選手で、現地ではスタッフがマスコミ対応の仕方を丁寧に教えています。橋本聖子選手団団長が直々に激励するなど、宣伝活動にも余念がありません」

 あどけない顔をピンクに染めて滑走する姿に多くの人が心を揺さぶられるが、

「JOCが彼女に期待するのは当然ですが、もう少しノビノビ滑らせてあげたいですね」(前出・折山氏)

 スピードを競う競技だからこそ、余計な"重荷"は背負わせたくない。