経産省幹部が公表をストップさせた「東京電力解体」案この霞ヶ関とのもたれあいこそが問題だ

2011年04月15日(金) 長谷川 幸洋
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 ただし国有化にせよ、支援機構あるいは専用ファンドの保有にせよ、それが最終決着ではない。あくまで発送電を分離し、地域独占もやめて会社を複数に分割、それぞれ民間に売却するところが出口である。売却先として、電力供給義務を課したうえで、外資に門戸を開いてもいいだろう。

 巷では、東電に対する怒りも手伝って「東電国有化」論が飛び交っているが、単に政府が東電を国有化するだけでは、これまでの政府との癒着関係が致命的にひどくなるだけだ。原発事故の反省もうやむやにされ、官僚と御用学者が再び大手をふって歩くようになるだろう。

 政府と御用学者、東電は事実上、一体だった。それが事故の遠因になった。政府と東電を切り離し、複数の民間企業が競争して発電事業を担うようにする。そこがポイントである。国有化は途中経過で一時的にありうるが、それが問題の解ではない。

 考えてみれば、電力供給も1社による地域独占状態より、複数の会社が発電事業に取り組んだほうが安定する。それは当たり前ではないか。1社に問題が生じても、別の社がセーフティネットになるからだ。

 東電が宣伝していた「地域独占で供給が安定する」という話は、今回の事故で完璧に崩壊した。それは神話だったのだ。

経産省体質にこそメスを

 最後に前回のコラムで試したように、思考実験として「政府が東電の資金難を支援するだけにとどめ、東電の経営形態は現状のまま」とした場合にどうなるか、考えてみよう。つまり抜本的な東電処理政策を実行しないケースだ。

 政府は形だけ監視体制を手直しする。たとえば原子力安全・保安院と原子力安全委員会を合体して、独立の「原子力規制委員会」を新設したとする。

 そこが東電を監視するが、東電自体は相変わらず「絶対につぶれない」状態に置かれているので、たとえ官僚に厳しく指導されたところで「どうせ、おれたちはつぶせないでしょ。だれが電力を供給するの。なんなら、あなたを天下りで受け入れてあげるよ」となめられるのが関の山だ。

 東電1社だけでは、だめだ。電力供給体制の複数化が東電見直し論の鍵である。

 ちなみに、この6枚紙の「処理策」はすでに経産省幹部も目を通している。ところが、執筆した官僚が公表しようとすると「絶対にだめだ」とストップをかけたという。天下りを通じて東電となれ合ってきた経産省の既得権益を侵す恐れがあるからだ。

 そういう経産省の体質こそ、国会で真っ先に追及されるべきである。海江田万里経産相も、ここは勝負どころだ。しっかりと指導してほしい。そうでなければ、これから苦しい暮らしが待っている何万人もの被災者たちが浮かばれない。

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