牧野洋の「ジャーナリズムは死んだか」
2011年04月14日(木) 牧村 洋

「ピュリツァー賞の総本山」コロンビア大学ジャーナリズムスクールは何を教えているのか

学生に徹底取材をさせるスパルタ式実践主義

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コロンビア大学ジャーナリズムスクール校舎の正面には「1912年にジョセフ・ピュリツァーによって創設」と刻まれている

 4月18日、世界の報道界がニューヨークにあるコロンビア大学ジャーナリズムスクール(Jスクール)に注目する。そこでジャーナリズム最高の栄誉である「ピュリツァー賞」が発表になるためだ。

 ピュリツァー賞の生みの親であるジョセフ・ピュリツァーがJスクールの創設者である経緯から、Jスクールがピュリツァー賞の事務局になっている。同スクールとはどんな所なのか。

 一言で言えば、高度な専門能力を備えたジャーナリストを養成するためのプロフェッショナルスクールだ。ジャーナリスト経験者を中心に受け入れる大学院であり、卒業生は修士号を得る。日本で見られる学部レベルの新聞学科とは違う。私がJスクールに入学した1987年の入学案内にはこう書いてある。

「われわれの要求基準は高いが、卒業すれば大いに報いられるだろう。意欲に燃えるジャーナリスト志望者を受け入れ、現実の世界へ容赦なく放り込む---これがわれわれのやり方だ。在学中、学生は非常に困難な状況に置かれるだろう。そこから脱出する方法は1つだけである。それは『考える』ということ」

「現実の世界へ容赦なく放り込む」という表現から想像できるように、Jスクールは学問としてのメディア論やコミュニケーション論を教える所ではなく、実践の場だ。事実、30人以上に上る教授陣の大半はジャーナリスト出身であり、メディア論を研究してきた学者ではない。

 アメリカにはコロンビア以外にも大学院レベルの著名ジャーナリズムスクールがある。ミズーリ大学、ノースウェスタン大学、カリフォルニア大学バークレー校、南カリフォルニア大学などだ。ただし、実践重視という点ではコロンビアが最も徹底しているようだ。

 Jスクールでは学生は街中に飛び出し、取材しなければならない。「学生の身分で取材できるのだろうか?」と疑問に思う人もいるだろう。実際はどうなのか。

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