原子力ロビー「電気事業連合会」の力と実態電力会社幹部は3年間で5600万円を自民党政治団体に献金、「味方作り」を推し進めてきた

2011年04月18日(月) フライデー

フライデー経済の死角

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 そして実際に原子力政策推進の舵を取るのは、政治家である。

「電事連の政界工作部隊はそう多くなく、全部で15人くらいです。1人が10~20人の政治家を担当し、エネルギー対策特別会計への更なる国費投入などを働きかけるのですが、最重要のミッションは原子力政策のシンパ獲得、またシンパを翻意させないことで、電源立地(発電所所在地)が選挙区にある議員を中心にご機嫌うかがいをしています。仙谷(由人)民主党代表代行が昨年から原発のセールスでベトナムを訪問していますが、電事連の働きかけがあって始めたと言われます」(東電社員)

 古くから永田町を知る政治部記者にとって、電力業界が自民党の旧田中派の牙城だったことは常識の範疇であるという。

「あまり知られていないが、六代目東電社長で電事連会長を長年務めた平岩外四は、自民党所属時代の小沢一郎(元民主党幹事長)の後援会長になった。東電の中興の祖である木川田一隆(四代社長)は政治献金を廃止し、政界と距離を置いていたので、その方針転換には驚いたものだ。福島が地元の渡部恒三(民主党最高顧問)が『農業の時代じゃない。これからは環境だ』と言い出したのは、まさにこの頃で、同じ田中派の小沢の動きを見て、CO2排出の少ない原発推進で電力業界との距離を縮めようとしたのだ」

〝抗議〟〝陳情〟〝誘導〟

 2ページの表は、自民党の政治資金団体である国民政治協会に'07~'09年度の3年間に献金した電力各社幹部の一覧である。'09年の秋に民主党に政権交代がなされるまで長きにわたって与党に君臨していた自民党に、原発を稼働させている電力各社が多額のカネを注ぎ込んできたことが一目瞭然である。

 自民党幹事長室は本誌の取材に「政治資金と政策が、あたかもつながりがあるかのような指摘だが、まったく関係ない」と回答したが、前述のとおり、原子力ロビーのほうに意図があることは明白であるし、次のような証言まである。

 自民党の谷垣禎一総裁(66)は3月17日の会見で「原子力政策の推進は難しい状況になった」と公言し、枝野幸男官房長官(46)も同調したが、同月31日になると谷垣氏は一転、「(原子力政策の見直しについて)諸外国みなが見直すと世界中のエネルギー需要の変更につながるので、視野を大きく取りながら組み立てないといけない」と、手のひらを返した。

「背後で電事連が暗躍したようです。17日の会見での谷垣発言が、電事連を通じて即座に電力各社の総務部に伝えられ、各社総務部と電事連の政界担当が知己の自民党政治家に対し、一斉に〝抗議〟〝陳情〟〝誘導〟の3点セットで谷垣氏の発言撤回を図ったのです。これが功を奏し、重鎮から諫められた結果、方針を転換したと聞きます」(自民党幹部)

 無論、政権を奪った民主党が無関係ということはない。東電には「全国電力関連産業労働組合総連合」(電力総連)に加盟する「東京電力労働組合」(東電労組)があり、電力総連は政治団体として「電力総連政治活動委員会」を、東電労組は「東電労組政治連盟」をそれぞれ持って民主党を支援してきた。

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