企業・経営
社長交代だけでは収束しない乱脈経営ーー膨大な内部資料が明かすオリンパスの「懲りない隠蔽体質」
スクープしたジャーナリストが緊急寄稿第2弾
オリンパス菊川剛氏〔PHOTO〕gettyimages

取材・文/山口義正(ジャーナリスト)

 この原稿を執筆している10月26日、オリンパスについて様々な情報が飛び交っていた。菊川剛前社長兼会長が取引銀行首脳との面会を急きょキャンセルしたらしいとの情報が入ったかと思えば、政府内では藤村修官房長官が民主党内からオリンパス問題を調査するよう求める声が上がってきていることを明かすなど、事態の緊迫化をうかがわせる情報が錯綜した。

 そして夕刻になると、菊川剛会長が代表権のない取締役に退き、映像事業担当の高山修一専務が新社長に就くという役員人事が発表された。社長交代の会見場となった京王プラザホテルは詰めかけた報道陣でいっぱいになったが、高山新社長に浴びせられた質問は、今後の経営方針や事業展開についてではなく、疑惑を追究する内容ばかりだったという。

 社長交代は、M&Aを巡る闇に光を当てるためのものなのか、逆に事実の隠ぺいや時間稼ぎのためのものなのか。社内では早くも「高山さんは菊川さんの子飼いの部下。菊川さんの言うことなら100%受け入れるだろう」との声が上がっており、社内の動揺を高山新体制で鎮め、難局を乗り切るのは難しそうだ。

 1枚のディスクに収められた膨大な資料

 マイケル・ウッドフォード元社長が14日に解任されて2週間近くが経過した。捜査機関に強大な権限が与えられ、捜査そのものも先行している英国や米国では日本よりも報道が過熱。メディアの注目度の高さは相当なものだ。

 そしてその間、オリンパス株はつるべ落としとなった。海外でも有力紙で疑惑のM&Aが報じられると、売りが売りを呼び、2500円前後で推移していた株価は一時、1000円割れが視野に入るほどの水準まで値下がりした。「信用取引の空売りに一巡感が出ても、実需の売りが止まっていない」(大手証券)と言う。

 金融面での懸念も残る。

 オリンパスは一連のM&Aを銀行借入金で賄ってきた。これが不明朗なM&Aの形で得体の知れない第3者にわたっているだけに「銀行から見れば、ペテンにかけられたとの思いが強いはず」(大手証券)との指摘もある。新体制へ移行したからといって融資残高を維持してもらえるかどうかは不透明な情勢だ。

 早い話が、たった2週間でオリンパスに対する世評は“優良企業”から“堕ちた天使”へと一変したのだ。

 欧米で先行して報道合戦が始まったばかりの頃、筆者は一連の問題を採り上げた月刊誌『FACTA』の阿部重夫編集主幹とともに、ある人物から接触を受けた。その人物はウッドフォード氏と家族ぐるみの親交があり、社長を解任された同氏のために独自の判断で資料提供を申し出たのだった。

 手渡された資料は膨大であるため、1枚のディスクに収められており、中には当事者だけが開封できる“strictly confidential”の文書さえも収められていた。その中に興味深い報告書が含まれている。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら