株価は額面割れ、国民には大顰蹙、それでも東京電力は国有化しないほうがいい
監督官庁との癒着やなれ合いこそ問題
〔PHOTO〕gettyimages

 東日本大震災に続く福島第一原発の事故で、目下、東京電力は国民の目の敵のような存在になっている。発電所に近い場所に住む住民はもちろん、東京都民をはじめ首都圏の住民にとっても、毎日、ベクレルだのシーベルトだのといった禍々しい響きの放射能関係の情報を気にして、さらにあちこちから節電を強制される生活の大きな原因が東京電力にあることを思うと、この会社に対していい印象を持たないのは自然だ。

 今回の事故に関して、東京電力にどの程度の責任があるのかは、同社がこれからどうなるか、また、どうするべきかに関わる大きな問題だ。少なくとも、(1)被災直後の処理が適切でなかった可能性とともに、(2)津波の際の電源喪失の可能性に対する備えを怠っていたことの二つの問題は問われるべきだろう。

 特に、後者に関しては、2006年の衆議院予算委員会で日本共産党の吉井英勝衆議院議員が、引き波時の取水不能の可能性とともに、冷却系の電源喪失による炉心溶融の可能性に関して質問している。「想定できなかった」という言い訳は通用しない(詳しくは吉井議員のホームページを参照されたい。)。

 危険に対して手を打つように東電を指導しなかった原子力安全・保安院、経産省にも責任がある。敢えて東電を弁護すると津波の大きさが異例で「想定外」だったということなのだろうが、バックアップ電源をさらにバックアップする方法等に関して準備が不十分であったことは明らかだ。今回の諸々の損害に対する東電の賠償責任は大きなものにならざるを得まい。

株価は額面割れ、すでに勝負はついている

 こうした状況下、東京電力を巡って、様々な動きが見られる。

 分かりやすく派手な動きを見せているのは、株式市場だ。東京電力の株価は、震災発生前には2千百円台だったが、その後急落し、4月6日には292円の安値を付けるなど荒い値動きとなっている。4月11日現在は4百円台で取引されている。

 東電株は、もともとの額面が5百円なので、現状は、いわゆる「額面割れ」であり、株式市場風に言うと「倒産株価」(倒産してもおかしくない企業の株価の意)だ。

 株式市場は、東京電力が、巨額の賠償によって何らかの整理の対象になる小さからぬ可能性を想定しているように見える。

 東京電力が倒産するかしないかは、現在の株主にとって大きな問題だが、一般的な株式投資家にとっては、実は、あまり大きな問題ではない。2000円から400円までの損と、400円からゼロ円までの損を較べると、その意味が明らかだろう。

 投資顧問会社の場合、倒産銘柄を倒産時点で保有していると、顧客に対する体面上格好が悪いという別種の問題があって、額面割れの株価をさらに追いかけて売却するような行動に出ることがある。しかし株式投資としては、ここまで下がった時点で「すでに大半の勝負は付いている」。倒産の有無よりも、ここまでのほうが重要だった。

 もっとも、現在の株価から、買ったり、売ったり(空売りしたり)で新たなポジションを取る行動は、新たな勝負だ。投資家が現在持っている株式について判断を下す必要はある。

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