経済の死角

「企業ポイントを活用した電力融通オークション構想」

2011年04月14日(木)
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文:吉川尚宏

価格メカニズムによる需給調整を見送った政府

 政府は4月8日、電力需給緊急対策本部を開催し、今夏の電力需給対策を決定した。東日本大震災の影響で、東京電力管内では最大1,500万kW、東北電力管内では330万kWの電力供給不足が懸念されることを受けての対応である。今回の需給対策では契約電力が500kW以上の大口需要家は25%、500kW未満の小口需要家は20%、さらに家庭・個人は15~20%以上の抑制を求められる。特に大口需要家に対して、電気事業法に基づく使用最大電力の制限令も発動される。

 震災後に実施された計画停電は、計画実施の不確実性、地域による停電頻度の多寡等を巡って、企業、団体、消費者等の間で不満が多かったが、これは今回の措置で一旦は打ち切りとなり、セーフティーネットとして万が一の場合に実施されることとなった。

 電力需要がピークを迎える時期があと3~4ヵ月後にくることを考えると、今回の対策は仕方がないかもしれないが、本来であれば、価格メカニズムを導入して、需要を抑制するのが望ましい。これについて、野口悠紀雄氏が震災直後から提言している(http://diamond.jp/category/s-noguchiearthquake)。電気料金は基本料金(=料金単価×契約電力)と電力量料金(=「夏季」または「その他季」の料金単価×使用電力量)の和であるが、野口氏はピーク時の基本料金の値上げや契約電力の引き下げ、契約電力をこえた場合の違約金の値上げ等を採用すべきであるとしている。

 大口需要家の電力需要の一律25%削減は日本経済に大きな影響を与えるものと思われる。高い料金を払ってでも電力を利用したい事業者にとっては、電力需要の一律の削減は事業機会の損失である。さらに一律削減は電力需要をさらに踏み込んで削減することが可能な事業者への削減インセンティブを削いでしまうことになる。

 家庭・個人の節電目標は今回はあくまでも目安であり強制されるものではないが、本稿では、家庭・個人の需要抑制も促しながら、価格メカニズムの導入と同様の効果が期待できる、企業ポイントを活用した電力融通の仕組みを提案したい。

企業ポイントを活用した電力融通市場

 スキームを図1に示そう。ステークホルダーとしては家庭・個人、電力大口需要家に加え、ポイント発行主体(Yahoo!、TSUTAYA等のポイント発行企業)、電力会社(東京電力、東北電力)が存在するものとする。このスキームのメカニズムは次のとおりである。

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