衆院が93%、参院が87%を占める巨大政権「大連立」への懸念
少なくとも「ネガティブリスト」の作成を

 自民党が大連立を拒否する方針を決めた時、内心、ホッとした。これで、議会制民主主義が引き続き機能すると思ったからだ。

 一時、大連立は当然という雰囲気に包まれた。3月19日に自民党総裁・谷垣禎一が首相・菅直人からの入閣打診を断ると、新聞の投書欄に「自民党は国再建へ協力せよ」「野党よ党利に走らず行動を」(いずれも朝日新聞)というのが掲載された。

 わたしは政策合意もなく、唐突に打診されたのでは断って当然、と思った。取材した与野党の議員の大半もそういう感想だった。

 しかし、読売新聞やTBSの全国世論調査の結果は違った。民主党と自民党による大連立の是非を問うたところ、読売の調査(今月1-3日)で「組む方が良い」64%、「そうは思わない」27%、TBS調査(2、3の両日)で大連立に「非常に、ある程度賛成」が55%、「あまり、全く賛成できない」39%-と、いずれも賛成が反対を大きく上回った。

 世論と、永田町の実感がなぜ食い違うのか。その原因は大連立がもたらすかもしれない弊害が全く報道されていなかったからではないか、と考えている。

野党が少数政党だけになってしまう

 最も懸念されるのは、民・自大連立が実現すれば、国民新党を含め衆院で89.0%、参院で79.3%に達する「巨大与党」が誕生し、政府を監視する国会の機能が失われてしまいかねないことだ。

 これに公明党が加われば、衆院で93.3%、参院で87.2%に達する。国会で、野党は共産党や社民党など少数政党だけになってしまうのである。

 大連立が成立すれば、自民党の知見も加わる上に、国会における予算案、各法案の成立は格段にスピードアップする。だが、野党が少なくなると、国会において政府のチェックする機能が弱くなる。

国会で政権に対するチェックができなくなる  【PHOTO】Bloomberg via Getty Images

 たとえば、東日本大震災前、3月7日の参院予算委員会で、民主党の植松恵美子がこう質問した。

「原発を海外で受注すると、1基4000億円の仕事になります。また、日本企業が獲得すると、その企業の下請けの関連会社は2000社以上あると言われている。受注することで、日本の中小企業が潤う、日本の景気が回復するので、わたしは大変、力を込めてきた。ベトナムの第2サイトが取れたことを大変喜んだ。獲得にいたるまで、菅総理がどのようなリーダーシップを発揮されたか、教えていただきたい」

 質問者が政府を絶賛し「教えていただきたい」と言って質問する、そして、菅は自分がいかにリーダーシップを発揮したかをとうとうと説明する。そんな国会になってしまうことが、はたして国民にとってプラスなのか。わたしにはそうは到底思えない。

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