雑誌
そんなに「安全」と言うのなら、テレビに出るのではなく原発ムラの科学者たちは現場へ行け!
君たちにも責任があるだろ

 自分たちでさんざん安全だと言って作っておいて、いざ壊れたら今度は「それでもたいしたことないから大丈夫です」って、どういう神経なのか。御託はもういいからあの「化け物」を止めて来てくれ。

東電から東大に5億円の寄付

「原子力安全・保安院」に「原子力安全委員会」と「原子力委員会」、さらに連日のようにテレビに登場する科学者たち。

 しかし、会見やテレビでの彼らの解説を聞くと、どうしても違和感が拭えない。「ただちに健康に影響はない」と連呼しているのに、日々伝わってくる原発の状況は、好転の兆しが一向に見えないからだ。現にチェルノブイリ原発事故の影響について調査しているロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士は、ワシントンで会見して、こう語っている。

「日本政府は、国民に対して放射能被害を過小評価している」

 こんな発言と、我々がテレビで聞く話には雲泥の差がある。たとえば、NHKに出ずっぱり状態の関村直人東京大学大学院工学系研究科教授。

「燃料のごく一部が溶けて漏れ出たと思われるが、原子炉はすでに停止しているうえ、冷やされている状況だ。冷静な対応を」

「炉心溶融(メルトダウン)はありえない」

「冷却水が漏れている可能性は低い」

 最近、メディアへの登場回数が増えている中島健京大原子炉実験所教授は、何を聞かれても「まず、大丈夫でしょう」と繰り返し、プルトニウムの漏出についても「プルトニウムは重いので、遠くまで飛ばないから安全」と語っていた。

 ところが、その後の原発の状況は、彼らの発言のほとんどが楽観的な願望に過ぎなかったことを証明した。なぜ、そんなことが起きるのか。それは、彼らが原子力政策を支持・推進する「原発ムラ」の住人だからである。

 関村教授は、経産省の原子炉安全小委員会の委員を務めるなど、経産省との関わりも深い。同時に関村教授が所属する東大大学院工学系研究科には、東電から「寄付講座」名目で約10年にわたり合計5億円ほどのカネが流れている。東大にとって、東電は大スポンサーなのだ。中島教授も関村教授とともに核燃料サイクル安全小委員会の委員を務めたり、文科省の原子力安全技術アドバイザーをしていた。

「原子力分野では、東大工学部と東工大原子炉工学研究所、京大原子炉実験所の科学者たちが3大勢力です。京大には原発の危険性を訴えている研究者グループもいますが、彼らは昇進やポスト配分などで冷遇されていて、テレビ局なども敬遠しています。原発推進派の研究者でないと研究費も付かないし、電力会社からの寄付ももらえない。彼らが『安心です』と繰り返すのは当然のことでしょう」(全国紙科学部記者)

 原発ムラは、かねてから産・官・学一体となった共同体だと言われてきた。その詳細は後述するが、テレビで解説しているような教授たちは、いわば「ムラの新人」に過ぎない。その背後には強固なネットワークが築かれている。

 経産省OBが語る。

「原発ムラの中心メンバーは東大大学院工学系研究科で原子力を専攻した人たちです。そのなかにもヒエラルキーがあって、もっとも成績が良く、教授からの受けがいい人間が大学に残る。次は日本原子力研究開発機構(旧・動燃)のような政府系研究機関に行く。3番目が日立、東芝、三菱といった原子力プラントメーカー。4番目が電力会社で、最後が経産省や文科省の役人になる。

 彼らに共通するのは、『日本は核兵器を作る能力を持っている』という自負で、自分たちこそが技術系の最先端だと信じています。大学時代から先輩が後輩を指導する形で、同じような考えを持った人々を脈々と原発ムラに送り込んできた」

 この発言を裏付けるように、原発推進側の原子力委員会委員長・近藤駿介氏(68歳)は東大大学院工学系研究科修了の東大名誉教授。規制側の原子力安全委員会委員長の班目春樹氏(63歳)も同じ大学院を修了、東大教授を経て、現在のポストに就いている。

 原発ムラの一員として純粋培養された人々は、推進側も規制側もまったくの同根で、原発の安全性を声高に叫び、危険性を過小評価する。こうして、原発行政の関係者は、揃いも揃って推進派という現在の状況が生まれたのである。

 '01年に経産省の外局として作られた原子力安全・保安院も、こうした状況を打開するどころか、発足当初から実効性には疑問符が付いていた。

「経産省はもともと原発を推進する立場で、年に一度くらい全国の電力各社幹部を集めて懇親会を開き、『原子力の開発をお願いしますよ』と要請する。電力各社幹部たちは自社の推進計画について説明します。そんな経産省の傘下に保安院のようなチェック機関があること自体がおかしい。アメリカの場合は、原発を推進するのはエネルギー省(DOE)、規制するのは連邦原子力規制委員会(NRC)と、それぞれ独立した組織が担っています。推進と規制が同じ省の管轄になっている日本の体制が不自然なのです」(原発に詳しい『エンジニアリング・ビジネス』編集長の宗敦司氏)

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