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神童の法則 才能はいかにして開花したか。親たちが語る「天才少年・少女」の育った環境、育成理論
第2回 落語家 KOHARU亭たいちろう&けいじろう
(左)同じ日、弟の啓二朗君が選んだネタは「小言幸兵衛」。滑稽話を身振りたっぷりに語る姿からは貫禄を感じる (右)寄席のチラシに「草食男子・少年の部代表」と書かれていた太一朗君。高座にかけたのは「親子酒」(2月13日) 〔PHOTO〕川柳まさ裕(以下同)

  兄弟が同じ落語の道を進んだのは、ほぼ弾みだったと言ってよい。若手芸人の登竜門で、先に結果を出したのは弟だった。何気なく始めた落語が生み出した〝痛み〟。だが、「プロになるわけじゃない」という両親の平常心が強く子供を支えた---。

「20歳過ぎたらタダの人でもいい」プロにさせる気のない母の愛

和服を着付けてもらう太一朗君。いたって柔和な性格の長男が、ムラっ気のある弟をしっかりと支えている

 今春、小学5年生になる兄は、弟の躍動感溢れる高座を、舞台の袖で見守るようにして聞いていた。そして、もうすぐ3年生になる弟は、兄の端正な噺の運びに、客席の最前列で高らかに声を上げて笑っている---。

 2月下旬、滋賀県内の文化ホールで開かれたイベントには、高齢者を中心におよそ100人が集まっていた。

 その聴衆を前に「KOHARU亭たいちろう」こと田中太一朗君(10)と「KOHARU亭けいじろう」こと啓二朗君(8)が高座に掛けたのは、それぞれお得意の『牛褒め』と『道具屋』。よく知られた滑稽話である。

 名古屋在住の兄弟落語家には、すでに〝追っかけ〟までいる。朝から最前列に並んだという女性たちに話を聞けば、止むことない称賛の嵐であった。

「もぉ、可愛くって、面白くって、すっかりファンになってしまいました」

「そうそう、たいちろう君は礼儀正しくって男前だし、けいじろう君はちっちゃくてマルコメ味噌の男の子みたいで、もう、近くに来たら必ず見に来ます」