雑誌
学者、作家、元アスリートら著名人が語る信念に耳を傾けてみよう
「私はこう考える」東京を出た人・残る人

本誌が差し入れた栃木県産ホウレンソウを口にする大槻教授。身をもって、その安全性をアピールしてみせた〔PHOTO鬼怒川毅〕

 東日本大震災の発生とその後の福島第一原発の事故以来、安全を求めて首都・東京を脱出することを決意した人々がいる一方で、仕方ないから留まるというのではなく、積極的に東京に腰を据える人々もいる。どちらが正しいということではない。だが、それぞれの立場から語られる彼らの"行動原理"が傾聴に値することは間違いないだろう---。

成人には事故の影響は無い

「東京を脱出? とんでもない!」

 そう笑い飛ばすのは物理学者で早稲田大学名誉教授の大槻義彦氏(74)だ。

 オカルト批判で有名な大槻教授だが、国際放射線影響学会の一員で、日本物理学会の放射線分科に所属する放射能の専門家でもある。福島第一原発事故や放射能汚染に対するメディアや市民の反応は非科学的ですらあると、我々の不安を払拭する持論を展開した。

「農畜産物や水から暫定規制値を超える放射性物質が検出され、出荷停止になる食品も相次いで出てきています。でも、重要な指標であるはずの規制値が、なぜ"暫定"なのか? それは研究者の研究結果が一致していないからです。放射線医学者は人体実験を行えない。そこで、『間違いなく安全な低い数値』を暫定的に決めただけなんです。だから、規制値を超える値が出てきて当然です」

 大槻教授は、たとえ放射線値が今の1000倍の状態になったとしても、自分は恐れないと断言する。