潜入ルポ 福島第一原発「被曝覚悟で闘う現場作業員たち」放射線量が増大し作業はますます危険に

2011年04月08日(金) FRIDAY
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 こう語るのは、九州大学病院遺伝子・細胞療法部の准教授・豊嶋崇徳(てしま・たかのり)医師。対応が後手後手の東電と政府に苦言を呈し、豊嶋・谷口両氏は、作業員への予防医療の重要性を語る。

九州大学病院遺伝子・細胞療法部の豊嶋崇徳医師。「本当は採取・保存した幹細胞を使わなくて済むことが一番」

「重大事故時の緊急作業において総被曝線量の国際基準上限は500ミリシーベルト。"予防"をしておけば、その10〜20倍くらいまでの被曝をしても治療が出来る」(谷口医師)

 つまり、急性症状が現れ始める1000ミリシーベルト以上の被曝をしても治療は可能なのだという。方法は?

「直接、骨髄に針を刺して髄液を採取するのは、かなりの痛みを伴い、作業員が仕事に復帰するにも1週間ほどかかる。他に、G‐CSF(体内に存在する白血球を増やすサイトカインというタンパク質)という薬剤を投与し、骨髄から造血幹細胞を追い出し、採血する方法もあります。ただ、この方法でも、充分な幹細胞を得るには4〜5日かかる」(豊嶋氏)

 今、この瞬間も現場の最前線では作業員が戦っている。一刻の猶予もない。だが、別の手立てがあるという。

「『モゾビル』とG‐CSFを併用することで、幹細胞を採取するため、4〜5日かかっていた治療を1泊2日の入院に短縮できます。ただ、『モゾビル』は日本では未承認なんです。欧米やアジア諸国ではすでに使用されている薬剤なのですが・・・」(豊嶋氏)

『モゾビル』は、欧米やアジア諸国では使用が認められている

 『モゾビル』は造血幹細胞の血中濃度を高め、採取しやすくする注射薬。入院1日目の夜12時頃、皮下注射で投与する。翌朝6時にG‐CSFを筋肉注射し、9時頃から採取開始。3時間後の12時頃に終了する。

「副作用は一切ない。採取も通常の採血と同様で両腕を伸ばした状態で針を刺すだけ。退院後、すぐに作業に戻っても問題はありません。私どもは、モゾビルの使用許可を得るために官邸にも足を運びました」(谷口医師)

 他国で使用を許され、日本では未承認の薬剤の使用要請を官邸はどう受け止めたのか? 厚労省関係者が明かす。

「仙谷由人官房副長官はその案件について、表立って了承はしないが、薬剤の使用を禁止することもしなかった。前代未聞です」

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