潜入ルポ 福島第一原発「被曝覚悟で闘う現場作業員たち」放射線量が増大し作業はますます危険に

2011年04月08日(金) FRIDAY
upperline

「実は、私はあの3人のすぐ隣で除染を受けていたのです。裸になって、空のプールに入って水で体を洗うのですが、仕切りがあって、彼らの表情までは見えませんでした。ただ、東電社員や消防隊員が大勢駆けつけたので、かなりヤバい状況だというのは分かった。ここに来て10日になります。もちろん、ニュースはチェックしているんですが、放射能に対する恐怖に慣れつつあるのが怖いですね」

 自衛隊員や消防隊員で宿泊施設が一杯なため、彼らは自分たちのバスの中で寝泊りしているという。

「命の保証はできない」

 話を聞いている最中に東電の総務と名乗る男が険しい顔で近づいてきた。

「許可は取っているのですか。作業員たちに声をかけるのはやめてください」

 その後、作業員たちは口をつぐんでしまった。3月29日付「東京新聞」は、東電の協力会社が日当40万円という高報酬で作業員たちを募っていたという証言を掲載した。

「現在は20万円ほどだそうですが、震災翌日には100万円の値がついたそうです」

 と驚きの証言をするのは、原発から約25Km、屋内退避エリアの福島県南相馬市に今も暮らす田中大さん(30・仮名)だ。

「知人が福島第一原発で働いていたんです。震災当日は4号機で作業をしていたんですが、新潟への避難を決断。親戚にも県外退避を促していると、作業員仲間から電話があって、『明日、現場に出たら報酬100万円だそうだ。命の保証はできないらしいけど』と誘われたそうです」

 知人がこのオファーを蹴ったことを知って、田中さんは恐怖を覚えたという。

「いわば、原発の現場を熟知する人間が避難する道を選んだワケですから。彼は『いつまで南相馬にいるつもりだ? プルトニウムが撒き散らされていることが発表されたら、自由に移動できなくなるかもしれないぞ。浪江(原発のある地区)から福島市までは汚染されやすいホットスポット。間違いなく人体に影響はある。

 ヨウ素は甲状腺、セシウムは精巣に貯まり、がん発症の引き金になる。水も飲むな。今の基準値は事故後、100倍甘く引き下げられた数値だ。みな、パニックが起きないよう安全を強調しているんだと思う』とまで言っていた。彼と話した3日後の3月28日、プルトニウムが検出されたという報道が出てゾッとしました」

次ページ  プルトニウムは報道の1週間前…
前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ