皮肉にも円高を呼ぶ「円高総合対策」ーー自国民には窮乏化を強いるのに、なぜ韓国には気前よく金融緩和に協力するのか
対策どころか円高を呼び込む政策を展開している  【PHOTO】Getty images


政府・日銀が円高に手をこまねいているうち、日本経済は大きな打撃を受け、空洞化が進展している。ところが、10月21日閣議決定した円高総合対策はこれまでにもまして酷かった。それをそのままやると、当初の意図とは逆に円高を呼び込む円高総合対策になってしまう。

東京の高円寺には高円寺というお寺があるが、兵庫県の尼崎市には圓安寺というお寺がある。おかしな経済対策をするくらいなら、圓安寺にお参りにいったほうがましだろう。

解決策はなく、弥縫策ばかりの円高対策 

21日の円高対策は、雇用対策や中小企業支援など円高による痛みの緩和に1.1兆円、立地補助金、節電エコ補助金や住宅エコポイントなどリスクに負けない対策に0.9兆円となっている。ポイントは金融政策が抜け落ちて、財政支出するということだ。

経済政策は、policy to solve(解決策)とpolicy to help(弥縫策)があるが、今回の円高対策は、policy to solve がまったくなく、policy to help ばかりだ。

しかも、単にpolicy to help でなく、円高を呼び込む政策になっている。その理由は、本コラムの読者であれば、3月28日付け「財務省主導の「復旧」ではダメ!「復興」は新設する「東北州」に任せ、福島に国会と霞ヶ関を移転せよ 円高に苦しんだ阪神大震災の過ちを繰り返すな」でご存知だろう、「マンデル=フレミング効果」だ。十分な金融緩和なしに経済対策を打つと、円高になるというもので、阪神淡路大地震後の円高の原因だ。

しかも、今は、海外が金融緩和しているにも関わらず、日本だけがやっていないので、相対的に希少性が高まっている円は円高になる素地が十分だ。これも、8月22日付け「史上最高値を突破した円高につける薬はある 為替を読む『高橋法則』と民主党代表選の見方」に書いてあるように、為替はだいたい日米のマネタリーベースの比になるように動く。アバウトにいえば、円は130兆円、ドルは2兆ドルなので、今のペースでいくと、1ドル=65円になっても不思議でない。1ドル=100円くらいにしようとすれば、円を70兆円くらい刷るような金融緩和をすればいいことがわかる。

こういうことをいうと、よく責任だと言われるが、筆者が小泉政権の中にいたときには実際にやっていたことばかりだ。
 

小泉政権では実際にやってた

 筆者の持論であるが、高度成長期の産業政策はほとんど愚策で、効果がなかった。官僚が成長産業を選べるというのは虚構に過ぎない。

もし高度成長期で意味があった政策といえば、円安である。為替レートは85年のプラザ合意以前は、大幅な円安時代だ。それが産業政策のミスを補って余りあるほどの国際競争力をもたらし、その結果、日本の高度成長の基盤になった。

今の民主党政権では、誰もマクロ経済のことを理解せずに、経済運営が行われている。これまでの円高対策では、1年前にも新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策~円高、デフレへの緊急対応(2010年9月10日)と円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策~新成長戦略実現に向けたステップ2(2010年10月8日)がある。

これらも、金融政策を事実上抜き、いつもの「日銀に期待している」という文言がおきまりに添えられているだけだ。そして、官僚の「予算ぶんどり」となる諸施策が政策の柱になっている。policy to solve がまったくなく、policy to help ばかりというのもそっくりだ。

今回の対策について、効果が全くないのは明らかなのに、マスコミは1年前の政策の検証もせずに相変わらず役所からの情報を垂れ流している。中には、海外が自国通貨安政策をしているので、日本では円高をどうすることもできないという、子どもでも書かないような非論理的な文章を書いている社もある。海外が金融緩和で自国通貨安にしているなら、日本でも金融緩和でできないはずない。むしろ、日本はデフレなので、海外よりも金融緩和ののりしろは大きく、自国通貨安には負けない。

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