政局
低位安定で野田政権の敵失を待つだけ「魅力のない自民党」はどこへ行く
  低位安定のまま敵失を待つだけなのか   【PHOTO】Sankei via Getty Images


野党第1党・自民党はどこに行くのだろうか? 役員人事をやれば、古い自民党に先祖返りしたかのような派閥優先人事。国会運営では、衆院解散・総選挙を声高に叫ぶばかりで、実際には公明党が民主党と妥協すると、それに引きずられることを繰り返している。

今は、鳩山由紀夫、菅直人と2代続いた民主党政権の失政に助けられている。だが、野田佳彦政権が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を決めるなど着実な成果を上げていくならば、「変わらない自民党よりも、国会議員が若い分、まだ希望が持てる民主党の方がマシ」という方向に変わりかねない。

まったく注目されなかった党幹部人事

「自民党の支持率は極めて安定的なんだけど、谷垣禎一総裁の性格とよく似ている。上ぶれも下ぶれもせず、低位安定になっちゃっている。もう少し気概を持って、発信力を持って総裁や執行部は物事を処理していかなくちゃいけない」-。

元幹事長・伊吹文明は20日の伊吹派総会で、谷垣にこう苦言を呈した。確かに、自民党の支持率は極めて安定的だ。時事通信社の月例世論調査によれば、2009年9月に政権を失った後、自民党の政党支持率は11月に15.3%、直近の今年10月が15.4%だった。この2年間に月によって多少の増減はあってもほとんど変化がない。

この2年間に、民主党の政党支持率は28.4%から12.1%に激減している。このために、政党支持率では自民党が第1党になっているものの、自民党の党勢が回復したからではなく、民主党が落ちたということにすぎない。自民党が政権党時代におおむね20%台を確保していたころに比べると、伊吹の指摘のように「低位安定」と言った方がふさわしい。

この状況を打開するために、自民党は思い切った手を打ったのか。否である。

先月末の自民党役員人事では、派閥主導にはっきりと先祖返りした。新体制は副総裁に大島理森(高村派)、幹事長に石原伸晃(山崎派)を留任させ、新たに政調会長に茂木敏充(額賀派)、総務会長に塩谷立(町村派)、国対委員長に岸田文雄(古賀派)を充てた。

茂木のバックに元財務相・額賀福志郎が、塩谷の後ろに元官房長官・町村信孝が、岸田の後ろに元幹事長・古賀誠が、という派閥の実力者がそれぞれいて、谷垣に対し「自分を就けないなら彼を入れろ」とねじ込んだという。
 

 大島が何かにつけて国会運営に口を出し、石原が「すぐ逃げる」(首相経験者)というのは党内で広く知られている。にもかかわらず、この2人を残し、発信力がある前政調会長・石破茂、前総務会長・小池百合子を切って、ほとんど知られていない茂木と塩谷を起用した。
 

 参院自民党でも議員会長・中曽根弘文が右往左往した挙げ句、今月4日、町村、古賀、額賀3派の要求に全面的に屈服した。

これらの人事を1面で取り上げた新聞はなかった。テレビでもニュース番組で少し伝えられただけで、情報番組ではほとんど取り上げられなかった。それほど注目されていなかったわけで、党内融和を優先させた谷垣、ポスト確保に血眼になった派閥領袖のセンスが疑われる。

とはいえ、愚かな人事の結果として期待が持てる動きが出てきた。まず、石破が来年9月の自民党総裁選に出馬の腹を固め、勉強会結成の準備を始めた。推薦人20人の確保が目的であることは明らかだ。

もう1つは参院自民党の執行部から外れた世耕弘成、山本一太が国対委員長代理と参院予算委員会の筆頭理事にそれぞれ就任し、3派の動きと一線を画した国対委員長・脇雅史(額賀派)とともに、国会運営の最前線に立ったことだ。彼らは、野田内閣の閣僚を個別に攻撃し、今国会会期末の12月には消費者担当相兼国家公安委員長の山岡賢次に対する問責決議案可決を狙っている。

この2つの動きが奏功するならば、自民党は少しは変わったと思われるようになるのだが…。
(敬称略)
 

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