震災報道とソーシャルメディア
〔PHOTO〕gettyimages

 東日本大震災は、メディアの本質を暴露する機会になった。既存メディアの利点と欠点が明らかになり、ソーシャルメディアの効力も発揮されている。従来、対立する図式でしか語られなかったが、現実の事象の中で、双方の利点をどう組み合わせるのかが、ポイントになっている。

空虚に響く「死者・行方不明者数」

 今回の震災報道で、やはり圧倒的な量と質を提供したのがNHKだった。日頃から「国民のためのメディア」を標榜しているだけに、使命感を持って取り組んでいたと言えるだろう。

 ただ、私は「死者・行方不明者は福島県で××人・・・」などというニュースに、非常な違和感を覚えた。この数字は何だろう?

 私は、物事を考えるのに、「誰のために」「何のために」を基準にしている。被災した人にとって、この数字は意味があるのか・・・。

 震災の規模を表現することについて、この数字は意味があるが、被災した人にとって、「私の夫は生きているのか」であり、「食糧はいつ届くのか」「病気の子供に医師は来てくれるのか」である。

 そうした切迫した情報を必死で求めている人に対して、もっとも空虚なものが、この死者・行方不明者数ではなかったろうか。

 こういう情報は、各県の警察本部で聞いた数字を足し合わせればいい。もっとも手間のかからない、大本営発表的な報道ではなかろうか。

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