伊藤博敏「ニュースの深層」
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10年前に東電が政治力で潰した「発送電分離」案が電力業界を大変革する

原発と独占による高収益は表裏一体

2011年04月07日(木) 伊藤 博敏
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〔PHOTO〕gettyimages

 福島原発事故を機に、政治家にやり込められ、マスコミに叩かれ、サンドバック状態となっている東京電力だが、国民生活の最大インフラである電力を握り、豊富な人材と資金をテコに、日本株式会社の「盟主」と呼ぶべき存在であったのを忘れてはならない。

 日本経団連の会長、副会長といった枢要ポストに故・平岩外四元会長を始めとする人材を送り込み、資金面で財界活動を支え、経済産業省と一体となって電力行政を担い、票とカネで政権政党(自民党)を支え、国家秩序を安定化させた。

 その力の源泉が、地域独占、発送電一体、総括原価方式による高収益体制にあったのはいうまでもない。他の電力会社も従えて政府にモノ申す立場の東電は、「力の源泉」を崩すわけにはいかず、自民党との太いパイプをもとにした政治力、天下りを受け入れることで築かれた官界との信頼関係、膨大な広告出稿を通じたマスコミへの影響力で、高収益体制を維持してきた。

 だが、今回の「終わりなき事故」は、原発がいかに高コストであるかの証明で、東電国有化が避けられない見通しとなった今、原発は国家管理にして電力各社から切り離し、各電力会社の発送電一体を見直し、発電事業と送電事業に分離する案が浮上している。

政界パイプを使って分離案を押し戻した

 この発送電分離案は、今回の事故でやむなく登場したわけではない。10年前にも、欧米で進められていた電力自由化の流れに沿って、日本の高コスト体質を見直そうと、経産相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会で論議されたことがある。

 電力は、初期に膨大な費用がかかるので新規参入が難しいのだが、それは送電事業に限ったことで、発電事業そのものは、規模の大小を問わず容易。風力や太陽光といった再生エネルギーの利用もある。電力自由化がなされても、現実には電力会社が地域独占、新規業者の参入を阻んでいるのは、送電事業も押さえているからだ。

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