歳川隆雄「ニュースの深層」
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野田首相はTPP交渉参加問題について中身のある会見を行えるか?

2011年10月22日(土) 歳川 隆雄
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いまいち"華"がない野田首相〔PHOTO〕gettyimages

 臨時国会が召集された10月20日の夜、野田佳彦首相はNHKの「ニュースウオッチ9」に生出演した。野田首相は冒頭、同番組の看板キャスターの大越健介解説委員の「首相の慎重な安全運転ぶりは、ちょっと発信力が物足りないのではという意見をどうお聴きになりますか?」との質問に対し、以下のように答えた。

「日本の人口は1億2800万人ぐらいですよね。イメージして頂きたいのは、老いも若きも男性も女性も乗った大きなバスの運転をするのが私の仕事です。ということは、ちゃんとガソリンが入っているかどうかメーターを調べて、そして交通法規に則って行きたい所へ安全に運ぶのが私の仕事であって、乱暴な運転だとか、急に行き先を変えるだとか、あるいは事故を起こすということはやってはいけない。安全運転、これからも心がけていきます」---。

 その後、野田首相は、財政健全化、原発事故対応、エネルギー政策、消費税、国会議員定数削減、年金支給開始年齢、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、普天間飛行場移設、震災復興(第3次補正予算)など懸案すべてについて言及した。手元に内閣官房総務官室、広報官室、そして首相秘書官らが準備したに違いない「アンチョコ」らしきものが見受けられたが、それを読んだわけではないし、キャスターの質問にも一応よどみなく答えていた。その点では、野田氏が言うように安全運転に終始していた。

 確かに、画面を通じて野田氏の誠実さはそれなりにアピールできたと思う。だが、問題は語った中身である。愚直で頑固な性格は承知しているが、いまいち"華"がないうえに中身が乏しいのだ。番組の平均視聴率は8.2%と聞いたが、首相インタビュー中のそれは7.5%だったという。

 もちろん、首相出演後に「カダフィ大佐の死亡」という世界的な大事件が報じられたということもあった。それにしても、毎日のぶらさがり会見を拒否してのNHK生出演である。期待感があった。財政再建=消費増税とTPP交渉参加を野田政権の「1丁目1番地」としているのであれば、もう少し踏み込んだメッセージを発信すべきではなかったか。

 事実、野田首相は16日午前に航空自衛隊百里基地で開いた航空観閲式で訓示したが、その際のメモなしスピーチに多くの将官が感動したというのだ。観閲式での首相訓示に将官クラスが立ち上がって拍手が起こったことは先例がない。自分の父親が自衛官であったこと、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)のための陸上自衛隊施設部隊派遣の意義、不透明な北朝鮮情勢や中国の最近の動向など日本を取り巻く安全保障環境への言及、そして東日本大震災で救援活動にあたった自衛隊員への心からの感謝の言葉など、「中身」があったからこそ偽りのない拍手があったのではないか。

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