BlackBerry通信障害で露呈する危機
カナダの名門携帯メーカRIM社の凋落

RIM社のBlackBerry

 BlackBerry(ブラックベリー)のメールが10月10日から4日間にわたり運用障害に陥った。日本ではほとんど知られていないが、欧米でBlackBerryと言えば「法人スマートフォン市場を切り開いた有名な端末」として知られている。同障害を起こしたRIM(Research In Motion)社のマイク・ラザリディス氏(Mike Lazaridis、設立者、共同最高経営責任者)は、今週開催された開発者会議で謝罪するとともに、ユーザーに100ドル相当のフリー・アプリケーションを提供すると発表した。

 しかし、ユーザーの不満は高く、集団訴訟の可能性も出ている。今年に入って凋落著しい同社は、このトラブルを乗り越えられるのか。苦しい状況に追い込まれた同社を追ってみたい。

企業向け携帯モバイル時代を切り開いたBlackBerry

 真四角の黒いボディーに小さなキーボード、側面ダイヤルを親指で回すと画面が簡単にスクロールできるBlackBerryは、黎明期のスマートフォン市場を切り開いた。

 1999年に同端末が登場した頃といえば、第2世代携帯サービスの後期にあたる。まだまだ、携帯データ・サービスは遅く、メールでさえスムーズに受信できなかった。そうした中、RIM社は双方向ページャーなどで養った技術を結集し、BlackBerryを出した。独特のプッシュ・システムを採用しリアルタムで着実にメールを配信するだけでなく、スケジュールや住所録なども搭載されていた。専用のメール・サーバーを抱き合わせたサービス・モデルは、モバイルに悩んでいた法人ユーザーに歓迎された。

 2000年代初頭、ニューヨークやワシントンDCの弁護士事務所に行けば、みな腰にBlackBerryをぶら下げて歩いていたことを思いだす。弁護士や医者などに限らず、アシスタントが上役の日程管理をおこなう米国では、大企業がBlackBerryを会社から支給していた。

 BlackBerryは、待ち受け時間が長く、回線速度が遅くてもリアルタイムでメールを受信でき、ミニ・キーボードで楽にメールの入力ができた。また、世界各国のセキュリティーや暗号スタンダードに対応し、端末を紛失したときにサーバー側から端末のデータを消すことができるセーフティー機能なども最初に搭載した。

 つまり、第2世代後期から第3世代始めの携帯ネットワークに対応するスマートフォンとして、BlackBerryは抜群の機能性と利便性を提供し、法人向け携帯メール・サービスという新しい市場を開拓した。

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