石川知裕代議士はどう思う?
「気に入らないから」
新聞も読まない小沢一郎

「小沢先生の自宅では、新聞を1紙くらいしか取っていないんですよ。以前は主要紙を全部取っていたんですが『○○新聞はけしからん』とか言って契約を打ち切ってしまうんです。だから秘書の私たちは、仕方なく『世界日報』とか『聖教新聞』とかを読んで社会の出来事を知っていたんですよ。何というか、ワガママなんですね(笑)」

よく秘書やってられましたね・・・・・・〔PHOTO〕gettyimages

 そう語るのは、民主党の小沢一郎元代表の秘書を長く務めた石川知裕代議士である。小沢事務所の経理担当だった石川氏は、政治団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で禁錮2年、執行猶予3年の有罪判決を受け、控訴した。ボスの小沢氏も、「捜査は私を社会的に抹殺しようというものだ」と法廷で言い放ち、検察側と全面対決の姿勢を見せている。

 そんな小沢氏、石川氏が語るように、新聞の論調が気に入らないと、もはや読みもしないという。

「"壊し屋"と書かれたから、激怒して『朝日』はもうやめるとか、そのうち何かが気に障って、『読売』もやめちゃうとか。地元・岩手での秘書業務を終えてしばらくぶりに帰京してみると、『日経』だけになっていたこともありました」

 新聞をほとんど読まないとなると、どうやって小沢氏は情報収集をしているのかと疑問が湧いてくるが、テレビもニュースを見るくらいで、ほとんど見ないという。とにかく、自分が気に入らないものは目の前から排除して、見向きもしない。いかにも唯我独尊の小沢氏らしい話である。

 石川氏の著書『悪党 小沢一郎に仕えて』には、小沢氏のそんな"オレ流"ぶりを表すエピソードがいくつも記されている。

 自自公連立時代、時の野中広務官房長官が、「小沢先生と話がしたい」と電話をかけてきても、昼寝を優先して、無視。渡部恒三・現民主党最高顧問がある夜電話をかけてきて、やはりかけ直すよう求めても、取り次いだ秘書の石川氏が、「酒が入ったら政局の話などできるか。できん約束はするな!」と叱られる・・・・・・等々。

「連合の会長とか、そうしたレベルの方々が面会に来た時でも、平気で1時間とか待たせることがありますから。会いたくないと思えば、誰が来ても絶対に会いません。私たち秘書は、そのたびに平身低頭で先方に謝ったりして、いつもヒヤヒヤものでした」

何度も裏切られて来たから

 周囲から見れば、小沢氏のこうした態度が、傲岸不遜で排他的という、悪評の原因になってきたことも否めない。

 気に入らなければ人でもメディアでも徹底的に無視し、排除する。こうしたイメージこそが、小沢氏がこれまで失敗を繰り返し、天下を獲り損ねてきた原因ではないのか。

 石川氏によれば、小沢氏自身にも、さすがに自覚はあるようだ。

「小沢先生はその点について、自分で『オレはものぐさだからなあ』と言っています。田中角栄元首相と同じようにはできない、と。確かに周囲に進んでサービスをしようという人ではありません。たとえば色紙にサインをする時にも、絶対に『○○さんへ』とは書いてくれない。以前、札幌で『よさこいソーラン祭り』のイベントがあって、市民の皆さんと一緒に踊ってもらえないかお願いした時も、『なんでオレが踊るんだよ』と言って、結局、踊ってくれませんでしたね。選挙のCMとなると、何でもしてくれるのですが」

 '96年からおよそ10年間、小沢氏の秘書を務めてきた石川氏から見ても、「小沢氏は冷たい」と感じることがあったという。たとえば石川氏が金庫番の元秘書として逮捕され、しばらく収監されて保釈された後も、小沢氏から石川氏にねぎらいの言葉などはなかった。

 こんな小沢氏の冷淡さが、周囲の人物の離反を招いてきたとも言える。新生党や新進党など党を作っては壊し、いざ民主党が政権をとっても、すぐに内輪もめを起こして中枢に座り続けることができない。

 だが、石川氏はその小沢氏の"冷たさ”について、別の感想があるという。

「小沢先生は長い政治生活で、『他人に優しくしてもムダだ』と思っているのだと思います。これまで、元秘書を含めて、親切にしたつもりが何度も裏切られて来ましたから、もはや達観している。結局裏切られるなら、自分ひとりがいればいい。だからナンバー2もいらない。そう思っている。

 でも女性には優しいですよ(笑)。絶対に怒鳴りませんし、女性秘書を『早く家に帰してやれ』なんて言う。私たちは困るんですけど。『女性秘書は午後5時に帰せ』なんて言う人が、5時に事務所に来たりするから、お茶を出すとかお世話をしてくれる女性がいなくて大わらわなのに(笑)」

 小沢氏は初公判の日の夜、突如として病院に担ぎ込まれた。のちに尿管結石と公表されたが、心臓に持病がある小沢氏だけに、「公判のプレッシャーで倒れた」との憶測も呼んだ。


ただし石川氏は、そうした「小沢心労・体調不良」説を一笑に付す。

「そんな、裁判で参るような繊細な人なら、私たち秘書にもう少し気を遣ってくれますよ(笑)。むしろ、戦う相手ができて、以前より健康そうに見えます。

 赤坂の小沢先生の個人事務所には、セオドア・ルーズヴェルトの言葉が貼ってあるんです。『価値ある大義のために全力を傾け、最後には赫々たる勝利を収めます。たとえ、敗れる時でも、敢然と戦いつつ敗れます』という言葉です。

 一度戦うと決めた以上、小沢先生は断固戦うつもりでいますよ。ご本人はそれを『人事を尽くして、天命に遊ぶ』と表現しています。ただ待つのではなく、といって過度に期待するのでもなく、『遊ぶ』のだと」

 まだ総理の座を諦めたわけではないという小沢氏。「悪党」が国民の信認を得て復権する日が、果たしてくるのだろうか。

『週刊現代』2011年10月29日号より

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