東電は「国有化」より、「メキシコ湾BP型ファンド」創設で速やかな対応を菅総理に求められるスピード感と広い視野

2011年04月05日(火) 町田 徹
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 電気料金は長年、放置できない内外価格差があると指摘されながら、経済産業省が地域独占を容認してきた結果、東電はこれほどの分厚い資産を形成することができたのだ。中には、電気事業法(電気事業会計規則)に根拠があり、転用に株主だけでなく経済産業大臣の承認が必要なものもある。が、両者が今回の事故に際し、異を唱えるとは思えない。

 筆者は、これらを原資として、ただちに、事故対策と補償を目的にした基金を設置させることを提案する。合計の金額は3兆6069億9200万円に達する。BPの2倍の規模の資金を捻出できる計算だ。

 もちろん、今回の補償・賠償がそれ以上に巨額になるのではないか、という疑問は残るだろう。

 よく引き合いされる1999年の核燃料加工会社JCOの臨界事故の影響は遥かに小規模だった。東海村から出た避難要請は半径350m圏内の住民に対するもので、期間は2日と3時間半程度に過ぎなかった。茨城県が出した屋内退避勧告も10km 圏内が対象で、その期間は1日もなかった。原子力損害調査会によると、この事故で行われた賠償は約7000件、総額は150億円だ。

 福島第1原発の事故は、避難指示区域の半径が3、10、20kmと、また屋内退避区域が3~10、20~30kmと段階的に拡大されてきた。期間も、最後に屋内退避地域が20~30kmに広げられた3月15日から数えても、すでに3週間が経過した。政府も月単位の避難が必要な可能性を認めている。

 加えて、東北、関東ではホウレンソウなどの野菜や原乳から多量の放射性物質が検出され出荷制限が敷かれている。海洋汚染も確認されており、漁業補償が不可欠との観測にも現実味がある。総合すれば、原発事故の損害が数兆円規模になる可能性は否定できない。

関東大震災でさえ該当しない「但し書き」

 東電の賠償責任の範囲はどうなっているのだろうか。

 「原子力損害の賠償に関する法律」(原子力損害賠償法)第3条は、「原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたときは、この限りでない」(抜粋)と、過失の有無に関係なく、原発業者、つまり今回の場合は東電に賠償責任を集中させている。

 後段の但し書きにある「異常に巨大な天災地変」は、歴史上あまりみられない大地震などを指す。関東大震災でさえ該当せず、これを相当程度上回るものでないと当たらないと解釈されている。

 関連して、枝野幸男官房長官はすでに、東日本大震災は「異常に巨大な天災地変」に該当せず、東電が賠償責任を負うべきだとの趣旨の発言を繰り返している。菅首相も「基本的には(東電に)民間事業者として頑張ってほしい」と東電に下駄を預ける態度だ。

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