町田徹「ニュースの深層」
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東電は「国有化」より、「メキシコ湾BP型ファンド」創設で速やかな対応を

菅総理に求められるスピード感と広い視野

2011年04月05日(火) 町田 徹
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〔PHOTO〕gettyimages

 東日本大震災と福島第1原子力発電所の事故を受けて、菅直人政権と東京電力が機能不全と思考停止に陥っている。特に目立つのは、スピード感の欠如と視野の狭さである。

 事態は急を要す。東電の株価は先週末に449円と、解散価値の半分以下に落ち込んだ。投資家たちが巨額賠償によって東電が破たんしかねないと懸念している証左である。

 対策として参考になるのが、昨年春、メキシコ湾で未曾有の原油流出事故を起こした英石油大手BPだ。BPは事故から56日間で、周辺住民ら3万2000人以上に当面の生活補償として2億100万ドル(当時のレートで174億8700万円)を支払った。次いで、米政府の要求を呑み、中長期の損害賠償のための200億ドル(同じく1兆7400億円)の基金を設置した。自ら十分な支払い能力があることを示して、事態の収拾の道を開いたのだ。

 首相は、煮え切らない言葉や無責任な発言によって、東電の破綻懸念を煽るのを慎むべきだ。むしろ、東電に、長年、地域独占で貯め込んだストックを供出させ、BP以上の事故対策ファンドの設置を迫る方が建設的である。そうすれば、速やかに避難者らへの当面の補償を開始できる。

 民間のカネをいかす視点の欠如は、復興策にも当てはまる。財源を国債増発や増税だけで賄おうとせず、視野を広げて内外から投資を呼び込まないと、日本は沈没しかねない。

地域独占で生まれた「巨額の資産」

 まず、東電にどれぐらいのストックがあるか紹介しよう。

 2009年度(2010年3月期)の有価証券報告書によると、原子力発電事業に関連する積み立てとして固定負債の部に、使用済燃料再処理等引当金(1兆2100億6000万円)、使用済燃料再処理等準備引当金(363億1200万円)、原子力発電施設解体引当金(5100億1000万円)が蓄積されている。資本の部にも、資本剰余金(191億2300万円)と利益剰余金(1兆8314億8700万円)の計上がある。ちなみに、東電の純資産は2兆5164億7800万円、総資産は13兆2039億8700万円だ。

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