原発依存、防災都市づくりをすどうする?復興への青写真に必要な長期的視点
優れたリーダーシップがなければ「オール・ジャパン」も画餅に
〔PHOTO〕gettyimages

  未曾有の大震災から3週間が経った。被災地では、今なお十分な救助の手が回らず、食料、ガソリンなど生活物資の不足、医療介護分野での人材、医薬品の不足などで悲鳴が上がっている。全国民、また諸外国からの温かい支援で、少しずつ改善に向かいつつあることを感謝したい。

 菅首相は、この国難に対応する最大の責任者として、司令塔の役割を十分に果たすべきである。野党に協力を呼びかける前に、今の政権で実行できることを迅速に実行しなければならない。それが、政権を担うということである。

 国会対策的な大連立構想が喧伝されているが、私たち野党は必要な協力は惜しまない。しかし、まずは菅内閣が全力を挙げることが、すべての大前提である。政府の足らざる点、間違っている点をきちんと指摘する勢力が必要であるし、それはマスコミにしても同様である。

「政府を批判してはならない」とか、「政治家として大連立すべきだ」とかいった言辞には、私はあまり賛成できない。自民党などには、権力に復帰したいがための下心がみえみえであるし、大連立したら、どのように事態が改善するのかの見取り図もない。政権に就いている政治家が、官僚機構をフルに稼働させれば、問題の解決は可能であり、大連立云々の話は、あくまでもねじれ国会に対応するための国会対策的な発想の枠を出ていない。

 要は、目先の問題の処理から長期的な日本再建策の構想までを実行に移すために、最高指導者が冷静沈着にリーダーシップを発揮できるか否かである。オールジャパンと言うのは易しいが、優れたリーダーシップがなければ、それは絵に描いた餅に終わる。

3つのEのバランスをどうするのか

 戦後最大の危機に、指導力に欠けるトップを戴くことは、重ね重ね不幸である。日々直面する問題への対応について、様々な方策や手段を提言しているが、残念ながら、それを採用するもしないも菅内閣の勝手である。

 被災者支援とともに、当面の最大の課題は、原発事故への対応である。この問題は日本を超えて、今や世界大の問題となっている。フランスのサルコジ大統領も来日して、支援を約束している。何としても、事態の収束への努力が不可欠であるが、一進一退といった状態である。

 原発の冷却が必要であるが、汚染水の処理も大問題となっている。ピットのひび割れ部分から放射能汚染水が海洋に流れ出たことが明らかになっている。この点についても、十分な情報公開を迅速に行うべきである。海洋生物の汚染調査は不可欠である。

 それにしても、1999年のJCOの事故の際に比べて、今回は原子力安全委員会の動きが鈍いし、班目委員長の言辞も軽すぎる。もう少し、前面に出て、国民の不安を解消するための仕事ができないのであろうか。

 以上のような現在直面する課題の解決とともに、長期的視点から日本の再建策を構想する作業を開始せねばならない。

 電力については、電源全体の4分の1を占める原子力発電を、これからどうするのかが問題である。安全基準をさらに厳しくした上で、これまでの予定通りに原発を推進するのか。あるいは、今の電源構成を変えていくのか。国民的議論が必要であるし、地球温暖化などの要素も斟酌せねばならないであろう。

 国民が今の電力消費量の4分の1を節約すれば、原発は要らないということになる。生活様式の見直しも、需要の面から問題解決に資するであろう。しかし、世界には400基以上の原発が存在しており、今後も建設は続く。ただ、世界的な議論も始まっている。要は、economy, energy, environment の3つのEのバラスをどうとるかということである。

 被災地の復興についても、長期的な視点が必要である。まずは、防災という観点から新しい都市計画を立案せねばならない。海岸線から数Km以内は国有地にして、内陸部に新都市を建設する、基幹交通網のあり方を再検討するなど、英知を結集した青写真作りが必要である。

 そのためには、与野党協力を野党に呼びかける前に、民主党内での些末な主導権争いをやめたらどうか。国難のときに、自分の権力維持しか念頭にないようでは、指導者として失格である。
 

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら