経済の死角

クーラーがない夏 あなたは耐えられますか 計画停電と節電は続く

窓が開かない高層ビルは室温50度に/
通勤電車は40度に/隠れて使えば密告される

2011年04月07日(木) 週刊現代
週刊現代
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 いつ起こるかわからないが、起こる可能性は高い夏の大規模停電。「涼しさ」とともに清涼飲料もモラルも消え、熱中症と犯罪が激増する。日本人を酷暑から守ってくれるものは、もう何もない。

サウナ風呂と化す新幹線

 8月の昼下がり、あなたの会社で天井と廊下の照明が消えた。「何だ!?」というざわめきが広がるうち、周囲の気温が少しずつ上がっていく。クーラーも止まっていたのだ。

 計画停電である。今日あるとは聞いていたが、2時間ほど早くなったらしい。

 室温はさらに上昇し、やがて全身から汗が噴き出した。空気を入れ換えようにも、ビルは窓の開かない設計。冷たい物を飲みたくなったが、廊下の自販機は動かない。冷凍庫を開き、アイスクリームを食べようとしたら、これも停電で機能停止。アイスクリームはドロドロに溶けていた。

 1時間経っても通電は回復しない。蒸し風呂のような暑さの中、頭痛がひどくなっていく。熱中症か、と思って寒暖計を見ると、42度を指していた---。

 これは決して空想物語ではない。今年の夏、関東一円のあちこちで起こりそうな事態なのだ。

 福島第一原発の事故がもたらしたのは、放射能汚染の恐怖だけではない。電気のストップ、つまり大規模な停電も、日本人の生活を根本から麻痺させた。

 計画停電は、いったん4月末で終わるものの、夏にまた行われるのは確実。クーラーなどで電力消費がピークに達するためだ。防災システム研究所所長の山村武彦氏が説明する。

「大地震で、福島第一原発だけでなく、福島県や茨城県の火力発電所も被害を受けました。その復旧は進むのか。また、停止中の火力発電所を慌てて再稼働しても、どれだけ供給が増えるのか。大いに疑問です。今年の夏はもちろん、その後も私たちは徹底的な節電生活を強いられるでしょう」

 山村氏によると、東京電力(東電)管内における電力の最大需要は夏の猛暑の頃で、約6000万kW。しかし、今年の夏には、およそ4500万kWしか供給できそうにない。つまり4分の1が足りず、否応なしに停電せざるを得ない。

「たぶん6月頃、菅首相は国民に対し『クーラーの使用を自粛してほしい』などと、夏の節電と停電への協力を呼びかけるでしょう」

 と予想するのは、まちづくり計画研究所所長の渡辺実氏だ。節電と1回3時間の計画停電は、すでに行われている。しかし今夏、短時間で急に電力消費量が増えた場合などは、「計画」より早く、アクシデントのように停電が起こる可能性がある。3時間ですむとも限らない。そうなれば、人々の生活も大きく混乱する。

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