米クラウド業界をふたたび探訪する(3)
クラウド・ブラックホールがやってくる

DAR.fmを紹介するマイク・ロバートソン氏 (Launch 2011会議にて筆者撮影)

 いま米国アマゾンのホームページに行くと、今週発表された"クラウド・ドライブ(Cloud Drive)"の紹介メッセージが飛び出してくる。「ノートブックや携帯電話に音楽をダウンロードする必要はもうありません。好きな音楽をアマゾンに保管しておけば、いつでも、どこでも聴くことができます。」同社のジェフ・ベソス会長は、そんな魅力的な言葉を綴って、クラウド・ドライブを売り込んでいる。

 米国では、音楽プレーヤーやビデオ・レコーダー、Wi-Fi機器など、様々な端末ディバイスがクラウドへとその機能を移している。これはクラウドがコンピューターからディバイスへ広がっているためで、それによりハード・ソフト一体化を基本とするディバイス設計のあり方が変わろうとしている。

アマゾンがクラウド・ディバイスに参入

 もう少しアマゾンのCloud Driveについて話を続けよう。

 Cloud Driveはユーザーが無料で使えるストレージ(外部記憶装置)サービスだ。その大きさは5ギガ・バイト *1。ミュージック(MP3)なら約1000曲まで、写真なら2,000枚、HDビデオなら20分まで保存できる、と同社は説明している。

 クラウド上にデータ保管スペースを提供するサービスは、ドロップ・ボックスなど色々ある。にもかかわらず、アマゾンのCloud Driveが注目されているのは、保管したコンテンツを再生するクラウド・プレーヤー(Amazon cloud player)もついているからだ。同プレーヤーにブラウザーあるいはアンドロイド携帯アプリでアクセスすれば、好きな時に、好きな場所でミュージックなどを聴くことができる。

 このサービスは、ダウンロードやセットアップの手間もなく、端末を買い換えるたびにコンテンツの移し替える必要もない。もちろん、複数の端末にコピーを繰り返す手間もない。アマゾンの「MP3 Store」には約1,500万曲がそろっており、それをクリックひとつで購入できる。つまり、コンテンツ保存と再生機能をクラウドに分離しているおかげで、ユーザーはハードウェアの面倒な問題から解放されている。

*1 無料での提供は5ギガ・バイトまで。有料では最大1テラ・バイトまで6種類の容量を選ぶことができる。

 こうしたクラウド型プレーヤーは、アマゾンが最初でもない。たとえば、伝説的な起業家として知られるマイク・ロバートソン(Michael Robertson)氏 *2が設立したDAR.fm(ダーエフエム)も、こうしたクラウド・プレーヤーの一種だ。

 同サービスは簡単に言えば「クラウド型録音機」で、ホームページを使ってラジオ番組を指定しておくとDAR.fmが自動的に録音してくれる。インターネットを使って同サイトにアクセスすれば、どこからでも再生できる。日本でもインターネット・ラジオ放送のRadiko.jpを録音する携帯アプリが出回っているが、DAR.fmはクラウドに録音機能を集約している点が違う。

 業界の噂では、グーグルやアップルも、アマゾンのクラウド・プレーヤーと同様のサービスを準備 *3している。

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