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客が消えた!「節電経済」日本のピンチ
キャンセルの電話が止まらない
〔PHOTO〕gettyimages

 東北、関東だけでなく全国の企業にまで打撃が広がる。業種を見ても、サービス業、製造業からマスコミ、金融機関と多岐にわたる。震災がいま、日本経済に想像以上の危機をもたらしている。

旅館・ホテルはガラ空き

 日本百名山の一つである谷川岳には、ロッククライミング目当ての〝腕自慢〟やハイキングに興じる家族連れが集まる。そんな山を抱えるように広がる群馬県みなかみ町の「水上温泉」は、アウトドア客が疲れた身体を癒す一大観光地だ。

 春休みシーズンはまさに書き入れ時。それなのに今春はぱったりと客が消えた。約30のホテル・旅館が加盟する水上温泉旅館協同組合の職員が理由を語る。

「震災後に、キャンセルの電話が相次ぎました。特に19日~21日の3連休は例年であればすべての旅館が満室なのに、ほとんどキャンセル。結局85~90%が空室になりました。水上は計画停電エリアに入っていないため普段通りに営業しているのに、平日はほとんど部屋が埋まらず休館にするところもあった。放射能が怖いという風評被害が大きいと思います」

 日本有数の名湯地として知られる大分県「由布院温泉」。東北から遠く離れたこの地も、〝震災の余波〟に襲われている。由布院温泉旅館組合の職員が語る。

「うちは90以上のホテル・旅館が加盟しており、震災後に合計約5000名がキャンセルになった。春の観光シーズンはいつも賑やかですが、今年は経験したことがないほどお客が少ない。国内団体客に加え、韓国などから来る外国人観光客のキャンセルが響いています」

 実はいま、全国的に旅館・ホテル・観光スポットで「キャンセルラッシュ」が起きている。九州ではハウステンボス(長崎県)やシーガイア(宮崎県)などの大型リゾート施設でも、キャンセルが発生。都内のホテルに目を転じても、予定されていた宴会、謝恩会、イベント、結婚式などのキャンセルが相次いでいる。

 東京への観光、ビジネス客が集まる京王プラザホテル(東京・新宿)の広報支配人に聞くと、「震災以来、稼働率は50%前後に落ち込んでいる」と肩を落とす。

「私どもは通常90%以上の稼働率で、落ちるのは正月明けの時期くらいなんですが。設備・従業員ともに震災そのものによる被害はなく、後は宿泊客が戻ってくるのを待つばかり。今後の見通しですか? こちらが知りたいくらいです」

 日本列島全体に蔓延しているのは未曾有の消費自粛。スーパーやコンビニでは食料、水、電池などが棚から消える「品不足」が起きている一方で、「モノを買わない、外に出ないヒト」が急増し、市場がめっきり冷え込んでいる。打撃を受けているのはホテル・旅館業界だけではない。続けて現場の声を聞いてみよう。

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