資源エネルギー庁があっさり認めた「東電に返済義務はない」--復興増税を国民に押し付けながら銀行と株主を守ろうとする野田政権

2011年10月21日(金) 長谷川 幸洋
upperline

 〈 政府は機構が特別資金援助に係る資金交付を行う場合、国債が交付されてもなお資金不足が生じるおそれがあるとき、予算で定める額の範囲内において、機構に対して必要な資金を交付できる 〉(第51条。一部略)

 〈 政府は著しく大規模な原子力損害の発生その他の事情に照らし、機構の業務を適正かつ確実に実施するために十分な負担金の額を定めるとしたならば、電気の安定供給その他の事業の円滑な運営に支障をきたし、または利用者に著しい負担を及ぼす過大な額の負担金を定めることとなり、国民生活および国民経済に重大な支障を生ずる恐れがあると認められる場合に限り、機構に対し必要な資金を交付することができる 〉(第68条、同)

 ようするに51条は「政府が交付した国債だけで資金が足りなければ、現金も機構にあげますよ」という規定である。68条は「東電が後で返済に充てる負担金が重荷になったら(その結果、機構が資金不足になったら)政府は機構に必要な資金をあげますよ」という規定である。

 51条は機構が東電に資金援助をする前の段階で政府が機構に資金交付する規定であるのに対して、68条は機構が東電に資金援助した後、返済段階になって重荷になれば機構に資金交付するという規定である。事前と事後の違いと言ってもいい。

あっさり認めた担当者

 問題は受け取った現金を後で機構は政府に返済するのかどうか。私は政府の原子力損害賠償支援機構担当室に見解を聞いてみた。

 枝野幸男前官房長官が8月10日の会見で「担当室は内閣府に設置する」と発表していたので、初め内閣府に電話してみた。すると交換手が「担当室は経産省にあります」という。それで経産省に電話すると、電話は先の資源エネ庁・電力ガス事業部の政策課に回された。ここに担当室があった。

 長谷川: 51条と68条に基づく政府から機構への資金交付について、機構は後で政府に返済する義務はあるのか。

 担当者: (即座に)ありません。

 あまりにあっさり認めたので、いささか拍子抜けした。だが、それはそうなのだ。そんな返済規定は法律のどこにも記されていない。条文がすべてである。

 これではっきりした。機構が政府に返済するのは、交付された国債を現金化した分だけである(第59条)。事前あるいは事後に現金で受け取った分について返済する必要はない。

 すると、次の問題は東電が受け取った資金を機構に返済するかどうかになる。

 カネは政府→機構→東電へと流れている。したがって、返済についても東電→機構→政府と流れなければショートしてしまう。東電が機構に返済しなければ、機構は政府に返済する原資がないのだ。

次ページ  言い換えると、機構が国債を現…
前へ 1 2 3 4 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ