もし、数学が得意な学生がMLBのマネジャーだったら・・・

ボストン・グローブ USA

2011年04月09日(土)

 無数のデータを解析して判断を下す「スポーツ解析」の広がりで、優秀な学生たちが集まるボストンが注目を集めている。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院に、メジャーリーグ(MLB)のニューヨーク・ヤンキースから一通のメールが届いた。そのメールには、ヤンキースは「スポーツに関心があり、優れた"解析力"を持つ若者を求めている」とあった。

 近年ますます「スポーツ解析」が注目を集めている。これは、高度なデータ解析を行い、それを選手のトレードからゲーム戦略、チケット価格にいたるまで、スポーツビジネスのあらゆる局面に活かす手法だ。

 ボストンは、MIT、ハーバードなど数多くの大学がある学園都市であり、MLBのレッドソックス、全米プロバスケットボール協会(NBA)のセルティックスなど強豪チームが集まるスポーツの町でもある。そんなボストンでは、スポーツ解析にけた人材が次々と生まれ、多くのスポーツ関連企業やチーム経営にかかわる仕事も増えている。

 なかにはNBAのフェニックス・サンズと契約したジョン・エゼコウィッツ(20)のように若い人材もいる。彼はハーバード大の2年生で、経済を専攻し、統計学、応用数学、計量経済学を学んでいる。

 他にもタフツ大には野球のデータをコンピュータ解析する方法を学ぶコースがあり、MLBに人材を送り込んできた。ボストンはいまや「スポーツ解析のシリコンバレー」と呼ばれるまでにいたっている。

 スポーツ解析の概念が広く一般に紹介されたのは、03年に出版されたマイケル・ルイス著『マネー・ボール---奇跡のチームをつくった男』(邦訳:武田ランダムハウスジャパン刊)においてだ。本書はMLBオークランド・アスレチックスのマネジャーが統計を駆使することによって、それまで評価されていなかった選手を起用して輝かしい戦績をあげるにいたった経緯を描いたノンフィクションだ。

 かつて選手の評価や戦略などは、主観的な分析(マネジャーや監督の直感や経験)に頼ることが多かった。だがいまでは無数のデータを解析することで、ピッチャーの選択から選手の契約年数にいたるまで、さまざまな判断を下すことができる。

ボストン・グローブ

 こうしたデータを提供する企業の一つがボストン郊外にあるストラット・ブリッジ社だ。いまでは40以上のプロスポーツチームが同社のソフトウェアやコンサルティング・サービスを利用している。

 CEOのマット・マロルダによると、英国のプレミアリーグの関係者も最近、同社を訪問したが、これほど小さな企業(正社員は10名で、その大半が35歳以下)がプロスポーツ界のトップレベルの意思決定にかかわっていることにショックを受けたという。

 

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