ドクターZは知っている

安住財務相のお祖末すぎる国会答弁

2011年10月22日(土) ドクターZ
週刊現代
upperline

 10月5日の衆議院震災復興特別委員会はなかなか見応えがあった。自民党からは被災地・宮城県出身の小野寺五典議員が、震災から半年以上過ぎているのに、住宅の高台移転事業が一件も進んでいないことを鋭く追及した。

 取り上げたのは南三陸町の事例。同町の高台移転総事業費は1395億円で、負担内訳は国庫が636億円、県113億円、町590億円、JR56億円となっている。一方、同町の年間予算は74億円で、佐藤仁町長によれば高台移転のために回せる費用はせいぜい1億円程度。これでは移転が完了するまで600年かかってしまうと指摘した。まさしく絵に描いた餅だ。

 これに対して野田佳彦総理は、事前に質問通告されていたにもかかわらず、個別ケースは「初めて聞いた」ととぼけ、答弁を平野達男復興大臣に丸投げした。そもそも野田総理は前財務大臣である。復興予算を作った責任者としては、不誠実極まりない態度と言わざるを得ない。

 みんなの党の浅尾慶一郎議員も、厳しいところを突いていた。自衛隊を除く国家公務員の総人件費を人数で割ると年間1016万円となり、これほど恵まれた産業はほかにないと指摘した上で、国家公務員宿舎問題を取り上げた。政府は、批判を受けた朝霞宿舎の建設を5年間凍結するとともに、都心3区(千代田、中央、港)の宿舎についても危機管理用を除いて16ヵ所を廃止・売却する方針を打ち出したが、これは小泉政権下で決まった「骨太の方針2006」と同じではないか、と迫ったのだ。

 答弁に立ったのは安住淳財務相。これが呆れるほどお粗末だった。まず、16ヵ所の売却については、「骨太」決定後もそのまま使われていたから自分たちが売却を実行するのだ、と強弁。役人の振り付け通りに答えたのだろうが、売却の達成期限は昨年3月末。つまり、民主党政権になってからも何ら手をつけていなかったことを棚上げし(あるいは気づきもせず)、威張っているのだから、みっともないことこの上ない。

 安住氏は、「宿舎のかなりの部分は自衛官か警察官が使っている。例えば皇宮警察とか」「自衛官は国家公務員の6割を占めている」と聞きかじりのデータで公務員宿舎の必要性を述べたが、浅尾氏から「自衛官は6割も占めていない」とたしなめられた。実際、国家公務員58万1778人のうち自衛官は24万7746人('10年度末の定員)だから43%である。

 また、まさかとは思うが、安住氏は警察官はほとんどが地方公務員であることを知らないのかもしれない。警察職員数は、警察庁が7709人で都道府県警察が28万3766人。都道府県警察に国家公務員は626人しかいないから、国家公務員の警察職員は8335人にすぎない(なお、皇宮警察は警察庁所属で901人)。そして、財務省が所管している国家公務員宿舎法によれば、国家公務員宿舎には地方公務員である大半の警察官は入居資格がない。約22万戸ある国家公務員宿舎の「かなりの部分」を警察官が使うなどということはあり得ないのだ。

 確かに自衛官は国家公務員の4割を占めており、自衛官用宿舎も多いかもしれない。しかし、いま話題になっている都心3区には自衛官用は一つしかない。

 安住氏は、治安を守る警官や災害対応で活躍した自衛官をダシにしてまで一般公務員の宿舎を守りたかったのだろうが、その知識は生半可で、答弁は拙劣。いずれ舌禍を起こすだろう。

「週刊現代」2011年10月29日号より


このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ