サルコジ訪日と自国民大量退去を使い分ける
「経済外交大国」フランスのしたたかさ

裏に「原発の海外売り込み」あり
サルコジ大統領が急遽来日した狙いは?    〔PHOTO〕gettyimages

 カトリーヌ・ドヌーブ主演のフランス映画「シェルブールの雨傘」(監督=ジャック・ドゥミ)を覚えている方は、筆者と同じ団塊の世代に違いない。フランス北西部の港湾都市シェルブールでの物語である。

 4月4日、そのシェルブールの港から、同南部のガール県シュクランにある欧州最大の原子炉メーカー・核燃料会社アレバの子会社メロックスの再処理工場で加工されたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船が、日本に向けて出航する予定になっていた。だが、日仏両政府の政治判断で出航は見送られた。

 前回コラムで指摘したように、東京電力福島第一原子力発電所3号機は、昨年10月26日から3月11日の東日本大震災までMOX燃料を使って営業運転していた。3号機被災だけが理由ではないが、東電は3月28日、福島第一原発敷地内の土壌から放射性物質のプルトニウムが検出されたと発表した。特に、原子炉の中で生成するプルトニウム238が敷地内グラウンドと固体廃棄物貯蔵庫の2ヵ所で検出され、その量が多いという。

仏海軍、米海軍が警護する「危険物資」

 日本の電力会社は、アレバ社に原発のプルサーマル発電用にMOX燃料の加工を依頼しており、これまで4回シェルブールとル・アーブル両港から日本へ海上輸送されている。そして福島第一原発3号機で使用されているMOX燃料は、1999年6月の1回目の輸送で導入されたものだ。

 MOX燃料輸送船は英国海峡から大西洋を経て喜望峰に至るまで仏海軍が警護、その後、インド洋からマッラカ海峡・東シナ海を経て日本領海に至るまでを米海軍が護衛する。それほど強い毒性と長い半減期を持つ「危険物資」とされているのだ。

 4月4日のシェルブール出航は見送られた。だが、日本では東電福島第一原発3号機以外でも九州電力玄海原発(福岡県)の3号機、四国電力伊方原発(愛媛県)の3号機、関西電力高浜原発(福井県)の3・4号機がプルサーマル発電を行っており、MOX燃料の安定供給は不可欠である。

 今回のプルトニウム検出が、今後の対応にどのような影響を与えるのか、正直いって想像できない。3号機の原子炉格納容器破損による漏出なのか、それとも原子炉内燃料棒損傷による水素爆発で飛散したのか。あるいは燃料棒が溶けて露出した可能性がある2号機からのものなのか、発生源は特定できていない。事態は、それだけ深刻なのだ。だからこそ、東電の勝保恒久会長は30日記者会見し、福島第一原発1~4号機を廃炉にすることを明らかにした。

 そうした中、東京電力がフランス電力公社(EDF)、フランス電力庁、そしてアレバ社に対し、プルトニウム対処の技術支援を要請していたことを、エリック・ベッソン産業・エネルギー・デジタル経済相が3月28日、ラジオ番組で明らかにした。

 さらに、福島第一原発事故が深刻な状況にあることが判明した直後の18日にEDFが放射能汚染水の専門家派遣や原発事故に対応するロボットを含む資材130トンの搬送を日本側に申し入れたが断わられた、と29日付のル・モンド紙は報じている。

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