特捜部の是非を問わずに終わった「検察の在り方検討会議」への不満
厚労省冤罪事件を生んだシナリオ捜査の構造にメスは入れず

「3月末までにとりあえずまとめてみた、といった感じの内容で、検察の在り方を問う内容にはなっていません。単なるガス抜き、検討会議の名が泣きます」

 大阪地検特捜部の資料改ざん、犯人隠避事件を機に、法相の私的諮問機関としてスタートした「検察の在り方検討会議」の傍聴を続けてきた司法関係者が、3月31日にまとまった提言に対し、こう不満を漏らす。

 当然だろう。

 提言の柱は、特捜部のチェック体制の強化と取り調べの可視化(録音・録画)の範囲拡大。テクニカルな問題であって、「検察の在り方」、もっといえば「特捜捜査」に対する根源的問題に迫っていない。

ピークだった「金丸事件」

 権力は腐敗する。

 この前提のもとで、中央政界の「永田町」と、官僚機構の「霞が関」のチェック役を担ってきたのが地検特捜部だった。

 自民党長期政権のもとで、「政官業」のトライアングルが強固に出来上がり、放置すればとめどなく腐敗、利権癒着は度し難いものになっていった。

 「ドン」と呼ばれた故・金丸信自民党元副総裁が、金融債や金の延べ棒で、70億円近くを蓄財していたのがいい例で、一度は見逃そうとした検察が、東京国税局の手を借りて、脱税事件に仕上げた時、国民は拍手喝さい、マスコミは検察と一体となって、その構造に切り込んでいった。

 思えば、18年前の金丸脱税事件が、特捜検察のピークだった。以降は、ゼネコン業界が政治家を支える「ゼネコン資本主義」がほころびを見せ、やがて談合組織は解体、政治資金規正法が改正を重ねてチェック機能を果たすようになり、政治家の露骨な利権あさりは少なくなっていった。

 むろん、「永田町」と「霞が関」に権力がある限り、口利きや裏ガネ提供の誘惑は絶えない。特捜部に存在意義はあるのだが、贈収賄の構図にいる政治家や官僚が、カネの授受に慎重になり、偽装工作も巧みとなって、贈収賄事件の摘発は極端に減った。

 この状況の変化に比して、「特捜検察」への期待は変わらず、検察上層部からのプレッシャーもあって、シナリオ捜査が多くなった。

 犯罪があったから捜査するのではない。政官界工作の得意な業者が、郵便料金を安くできる許可を得た、という事実をもとに、「業者による官僚抱き込み」というシナリオを描き、それに合わせて、無理な供述をさせ、調書に取り、立件する。これが、郵便不正事件の構図だった。

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